いたいのいたいのとんでいけシリーズのコンセプト
近年、動物の毛皮やレザー、動物実験などに反対する動きが世界中で広がっている。彼らの主張は、取り上げる動物や状況こそ違えど、「動物たちの苦しみを知り、そのために行動すべき」ということに集約される。その一方、人間は原始より続けてきた食肉をやめることができないでいる。今日も我々は大いに動物を殺し、盛大に食っている。むろん、私は菜食主義者であるから加担していないのだという人もあろう。しかし、この世界に生きる人間である以上、それこそ動物から見ればみな同罪だ。
本シリーズは、動物に対する人間の矛盾を明らかにする試みである。生肉を動物の傷口ととらえ、絆創膏で治療する。言うまでもなく死んでいるそれに痛みも何もないのだが、我々の叫ぶ動物愛護などというものは、「いたいのいたいのとんでいけ」というまじないと変わらないのではないか。そもそも動物たちの痛みとは、罪悪感という我々の胸の痛みの別名に過ぎないのではないだろうか。