Edible Flowersシリーズのコンセプト
1789年のフランス革命で「人間と市民の権利の宣言」が採決されたが、この「人間」とは「男性」のことであった。これに対し女性が抗議したことがフェミニズムの起源と言われる。以降、女性の権利に関して向上が見られるとはいえ、いまだ完全とはほど遠い。
近年は、ハラスメントに代表される男性の暴力的行為が明るみになるケースが目に見えて増加している。個別の事案に立ち入ることは控えるが、好奇の目や誹謗中傷を恐れず、勇気を持って告発する女性らには敬意を表する他ない。
本シリーズは、市販のエディブルフラワーと呼ばれる食用花を、女性の象徴として用いる。そこに精液や血液に見立てたマヨネーズやケチャップを回しかけ、攪拌する。女性との性行為を「食う」などと表現する男性があるが、そのような表現が死語ではなく通用してしまう現状は、男性側の意識がいまだ更新されていないことの証左であろう。実際、男性は文字通り女性を食い物にしてきたし、相も変わらず食い物にしているのである。私はその加害者側の一男性として、本作を前時代的男性意識の墓標として呈示したい。