たいままんじゅうシリーズ

たいままんじゅうシリーズのコンセプト

近年、世界中で大麻合法化の動きがある。医療大麻を皮切りに、カナダやアメリカの一部州では嗜好用大麻も合法化された。しかし依然、違法とされている国は多い。この状況は、人やモノがダイナミックに移動するグローバル化した世界で、いかにも違和感がある。国境を超えられない大麻は、自ずとグローバリズムとは真逆の閉ざされた世界を意識させる。実際、米国大統領ドナルド・トランプの掲げるアメリカファーストや、英国のEU離脱など、それぞれの国が閉じてゆく流れが加速している。
本シリーズは、グローバリズムの終焉とともに閉じてゆく世界を風刺するものである。そのモチーフとして、外国人に大麻をかたどったと勘違いされることもある広島名物「もみじまんじゅう」を用いる。これを各国の国旗から引用した色面に配置し、単なるまんじゅうが場所や文脈によって異なる解釈がなされることを表す。また、緑に着色した方はまんじゅう自体に大麻を含ませ、もう一方は大麻を混ぜた絵の具で描画する。つまり、片方はあくまで絵画上の大麻のイメージ、もう一方は大麻という物質そのものとする。これを並置することで、絵画というフィクションと現実とを対比させると同時に、芸術に法律を、法律に芸術をからみつかせ、「たかが」芸術では終わらない不安定な状態を作り出す。私は本作を大麻が合法となっている米国カリフォルニア州において制作するが、当然これを持ち込めない国も出てくる。それは、我々がかつて信仰したグローバリズムが幻想であったことを雄弁に物語るのではないだろうか。

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