ONE BITE CHALLENGE AFTER CORONAVIRUS (COVID-19)シリーズ

ONE BITE CHALLENGE AFTER CORONAVIRUS (COVID-19)(ノリナ/74歳/女性/2020年4月18日)2020年 キャンバス、アクリル、ベルベット 30×30cm

ONE BITE CHALLENGE AFTER CORONAVIRUS (COVID-19)(ジョン/61歳/男性/2020年4月18日)2020年 キャンバス、アクリル、ベルベット 30×30cm

ONE BITE CHALLENGE AFTER CORONAVIRUS (COVID-19)(ジェイソン/49歳/男性/2020年4月18日)2020年 キャンバス、アクリル、ベルベット 30×30cm

ONE BITE CHALLENGE AFTER CORONAVIRUS (COVID-19)(デネット/46歳/女性/2020年3月21日)2020年 キャンバス、アクリル、ベルベット 30×30cm

ONE BITE CHALLENGE AFTER CORONAVIRUS (COVID-19)(トレイシー/58歳/女性/2020年3月21日)2020年 キャンバス、アクリル、ベルベット 30×30cm

ONE BITE CHALLENGE AFTER CORONAVIRUS (COVID-19)(マリセラ/21歳/女性/2020年3月21日)2020年 キャンバス、アクリル、ベルベット 30×30cm個人蔵

ONE BITE CHALLENGE AFTER CORONAVIRUS (COVID-19)シリーズのコンセプト

2019年末、中国の武漢市から始まった新型コロナウイルスは、2020年に入り世界中で感染が拡大し、ついにWHOがパンデミックを宣言するに至った。世界各国で外国人の入国が禁止され、米国では全世界でビザ発給の停止や、必要不可欠なビジネス以外の営業停止、スーパーや飲食店の営業縮小など、リーマンショックをゆうに凌ぐ影響が出ている。同年3月には、カリフォルニア州全土で外出自粛令が出され、状況はいよいよ混迷を極めている。
本シリーズは、コロナウイルス発生以降における拙作「ONE BITE CHALLENGE」の別バージョンにあたる。これは作家がロサンゼルスのホームレスと一つのハンバーガーを一口ずつかじり、彼らと困難な状況を共有する試みであったが、コロナウイルスの発生前後では、この行為は別の意味を持ってしまった。作家が彼らにアプローチすることは感染リスクをもたらす脅威となり得るし、逆もまたしかりである。
アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、互いに6フィート(1.8m)の距離を保つよう勧告している。しかし、そもそもホームレスに近づく人は稀だ。この状況ではなおさらだろう。政府に自宅待機を強いられても帰る家はない。クラスター感染が懸念される。ウイルスは貧富を問わない。皮肉にも、そのせいで彼らの存在を無視できなくなっている。
私はこれを一時的な状況だとは思わない。空前の災厄により、いびつな世界構造が炙り出されただけだ。例えば今回、善意としてホームレスに手指の消毒や、ゴム手袋、マスクの着用を求めているが、この行為は目に見えないウイルスよりも、目に見えて不衛生な彼らに対する忌避感の表れとして映ってしまう。一般社会と彼らとの絶対的な距離が、図らずも剥き出しになり、露呈したのだ。
私はこの状況を具現化してみせたい。前作と異なるのは、ハンバーガーを半分に切り分け、それを一口ずつ食べる点だ。これは未知の感染症により分断された人間関係を象徴すると同時に、互いの感染リスクを下げるための人道的な配慮でもある。次に、その二つに分かれたハンバーガーを、絵画上で切断面を合わせ、イメージとして修復する。終息に向け一致団結を求める為政者や専門家の虚しい呼びかけ、そのメタファーである。最後に完成した作品に切り込みを入れ、物理的に再び分断する。どう取り繕っても、完全に引き裂かれているのが現実だ。
目に見えない脅威に疑心暗鬼が広がっている。買い占めや暴力沙汰も起き、不穏なことに銃が売れている。この恐ろしく不透明な状況が我々に何をもたらすのかは知らないが、これだけは言える。我々はもう、コロナウイルス以前に戻ることはできない。

2020.5.7追記: 作家とホームレスの体温を計測し、各々のハンバーガーに記入する。我々は今、何者であるかよりも、保菌者か否かという匿名的存在として扱われていると考えるからである。

その他の作品