遺伝子組み換えでない シリーズ

遺伝子組み換えでないシリーズのコンセプト

世界中でクローン技術に代表される遺伝子操作技術の開発が過熱している。遺伝子組み換え食品のことを考えれば、誰しもこのテクノロジーと無関係ではいられない。安全性の問題から「遺伝子組み換えでない」という表示を確認する人は少なくないが、それとて絶対的なものではない。原材料の割合や加工品においては表示義務のない場合も多く、家畜の餌においては確認のしようがない。つまり確実に遺伝子組み換え食品は流通し、その危険性をいくら認識し忌避しようとも口にせざるを得ない現実があるのである。
本シリーズは、そのような状況に対する反応としてある。世界最古の遺伝子組換え技術とも言える「接ぎ木」の手法を用い、様々な食品をかけ合わせ、いわゆるキメラを作り出す。しかし、素材には100%オーガニック食品を使用するため、その外見がどんなに奇怪なものであろうとも、決して「遺伝子組み替えでない」。
キメラとしてもっともよく知られているスフィンクスは、通りかかった人間になぞなぞを出し、答えられなかった者を食い殺したという。「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。この生き物は何か?」ギリシャ神話にある有名なくだりである。私は本シリーズを、この種の単純で、しかし答えを知らなければあまりにも難解な謎かけとして呈示したい。たとえば、とうもろこしと魚をかけ合わせると何ができるか? 人参と鶏では? それはうまいか? 安全か? 答えを知らない私は、ギリシャ神話のような結末を想像してしまうのだ。
cf. 接ぎ木(つぎき)とは、植物の枝や芽を切り取り、他の植物に接合・癒着させ、1つの個体とすること。

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