勤倹と貨殖(現代語訳) (安田善次郎 (著), 松寛 (翻訳) /)

書籍勤倹と貨殖(現代語訳)(安田善次郎 (著), 松寛 (翻訳) /)」の表紙画像

購入価格: Kindle Unlimited(0円)

評価:

この記事は約2分36秒で読めます

誰でも知っているであろう、安田財閥の創始者、安田善次郎の自伝的一冊。

どこかのレビューにも書いてあったが、本多静六の「私の財産告白」に比べると、確かに面白味に欠ける。

言っていることは正しい。ぜんぶ正しい。しかし正しすぎて疲れるのである。

思うに、人間味というのは、完全よりも欠陥から生まれるもので、その意味において、彼はあまりにも完全なのである。

むろん、学ぶべきことは少なくないが、しかし、絶対に友達になりたくないタイプである。

努力によって富を積め元来、富を得ようとすれば、どうしても自分の努力によって得なければならないのである。この点については人に使われて働くのも、自分で独立して商売するのも同じである。自分で独立して店を持って商品を商いするのもつまり顧客に使われているようなものである。そして、何も人に使われているからと言って決して男子の恥辱とすべきではない。また独立しても別に人に対して誇るべき事ではない。

その行列には町人や身分の低い者は全て土下座をさせられた。私等は行列の前に土下座をするのは慣れているので不思議には思わない。行列でなくても物頭(訳注…中級の家臣)などに出会えば土下座させられたものである。ところが今度は普段我々に土下座をさせる物頭以上の勘定奉行がわざわざ丁寧に城下まで、お見送りをされたのであった。これを見た私はつくづく金の威力の絶大さに心を打たれた。人間は金を貯めるに限る。今から一生懸命に稼いで大金持になろう。せめて千両の資産家になりたい。それにはとても職人では望みがない。ぜひ江戸に出て商人になって大金持ちになろうという望みを持った。

人間の成功不成功を物質で表そうとすれば際限はないが、もし充分に世間から信頼さされ、また心中に何の不安もなく、煩悶もなく暮すことができれば、たとえ身は貧乏長屋住まいでも、その人は人生の成功者として見なしても問題はあるまいと思う。幾百万の富を積み、高位高官に上ったからといって、その人が世間に信用なく。心中常に不安を抱えて暮らすくらいなら何の意味もないではないか。これは大いに考えるべき事と思う。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  関連記事

毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資

投資の初心者も初心者なので、へーと思う部分がいくつかあった。 人生一発逆転的な投 ...

最新版 投資信託はこの9本から選びなさい

おすすめされている投資信託を悪いとは思わないが、もっと手数料の安い良質なものがた ...

ヒトはなぜ自殺するのか:死に向かう心の科学

自殺の衝動は生の衝動でもあるとはよく言われることだが、果たして本当だろうか。 み ...

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力

つい最近まで、働いてもらっているスタッフやパートナーの気持ちなど考えてもみなかっ ...

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

いかにも分厚い本であるが、ページをめくるごとに発見の連続で、すらすらと読めしまう ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.