問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (エマニュエル・トッド (著), 堀茂樹 (翻訳)/文藝春秋)

書籍問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論(エマニュエル・トッド  (著), 堀茂樹 (翻訳)/文藝春秋)」の表紙画像

購入価格:897

評価:

この記事は約1分20秒で読めます

ページをめくるごとに強烈な知見が展開される、非常に刺激的な一冊。

本書で完全にエマニュエル・トッドのファンになってしまった。

西洋にベースを置く親日家というのは、日本にいる日本人よりもよほど日本のことがクリアに見えているのだと言わざるを得ない。

本書を読んで著者の意見やアドバイスに同意する日本人は少なくないだろうが、しかし、納得するだけ納得して、しかし結局は何もしないのが日本人なのだろうと諦めている。

イギリスがEUを離脱した第一の動機は、移民問題ではなく、英国議会の主権回復だったことが出口調査の結果から明らかになっています。すなわち、EU本部が置かれて官僚が跋扈しているブリュッセル、あるいはEUの支配的リーダーとなっているアンゲラ・メルケル首相率いるドイツからの独立だったのです。

「人間の自由には限界がある」ことを認識できるという意味で、「自由」に対して一定の諦念があるという意味で、日本人は、少なくとも内面的により自由なのです。そういう能力を今日の西洋人は失っています。「自由」が強迫観念になっている西洋人の方が、歪んだ人間観をもってしまっているのです。「リベラル〔自由主義的〕」と言われる社会は、実はさほどリベラル〔自由〕ではない。

日本人は、決して異質な人間を憎んでいるわけではなく、仲間同士で暮らしている状態が非常に幸せなので、その現状を守ろうとしているだけではないのでしょうか。日本の社会はお互いのことを慮る、迷惑をかけないようにする、そういう意味では完成されたパーフェクトな世界だからです。 (中略) フランスの場合は、そもそも国内が無秩序で、フランス人同士でも互いにいざこざは絶えません。つまり、外国から異質な人が入ってきたところで、そもそも失う「パーフェクトな状態」がないタフな社会です。同じことはアメリカにも言えるでしょう。

     

ブログ一覧

  関連記事

新・投資信託にだまされるな! ---買うべき投信、買ってはいけない投信

素人であればあるほど、どこかに資産運用の秘密があって、それを誰かが知っているもの ...

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力

つい最近まで、働いてもらっているスタッフやパートナーの気持ちなど考えてもみなかっ ...

認知症世界の歩き方

いつか自分の親か、あるいは自分自身に来るかもしれない「状態」の時のために。 通常 ...

2022――これから10年、活躍できる人の条件

10年後の今、我々は著者の「予言」の答え合わせができる。言うまでもなく、当たって ...

睡眠こそ最強の解決策である

今さら睡眠について学ぶことも得ることもそうあるものではないだろうと思って手にとっ ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2025 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.