問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (エマニュエル・トッド (著), 堀茂樹 (翻訳)/文藝春秋)

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ページをめくるごとに強烈な知見が展開される、非常に刺激的な一冊。

本書で完全にエマニュエル・トッドのファンになってしまった。

西洋にベースを置く親日家というのは、日本にいる日本人よりもよほど日本のことがクリアに見えているのだと言わざるを得ない。

本書を読んで著者の意見やアドバイスに同意する日本人は少なくないだろうが、しかし、納得するだけ納得して、しかし結局は何もしないのが日本人なのだろうと諦めている。

イギリスがEUを離脱した第一の動機は、移民問題ではなく、英国議会の主権回復だったことが出口調査の結果から明らかになっています。すなわち、EU本部が置かれて官僚が跋扈しているブリュッセル、あるいはEUの支配的リーダーとなっているアンゲラ・メルケル首相率いるドイツからの独立だったのです。

「人間の自由には限界がある」ことを認識できるという意味で、「自由」に対して一定の諦念があるという意味で、日本人は、少なくとも内面的により自由なのです。そういう能力を今日の西洋人は失っています。「自由」が強迫観念になっている西洋人の方が、歪んだ人間観をもってしまっているのです。「リベラル〔自由主義的〕」と言われる社会は、実はさほどリベラル〔自由〕ではない。

日本人は、決して異質な人間を憎んでいるわけではなく、仲間同士で暮らしている状態が非常に幸せなので、その現状を守ろうとしているだけではないのでしょうか。日本の社会はお互いのことを慮る、迷惑をかけないようにする、そういう意味では完成されたパーフェクトな世界だからです。 (中略) フランスの場合は、そもそも国内が無秩序で、フランス人同士でも互いにいざこざは絶えません。つまり、外国から異質な人が入ってきたところで、そもそも失う「パーフェクトな状態」がないタフな社会です。同じことはアメリカにも言えるでしょう。

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