死について考える (遠藤 周作/光文社)

書籍死について考える(遠藤 周作/光文社)」の表紙画像

購入価格:440

評価:

この記事は約1分7秒で読めます

あとがきによると、著者はできる限りキリスト教的な物言いを避けたという。

だからかどうか、本書には葛藤のようなものが感じられる。おそらく、キリスト教的な視点で死を語れば、すべては明快で、単純になる。

著者が自分の人生において起こったひとつひとつの出会いと別れ。そのときどきで何を感じ、何を思ったか。宗教を抜きにして導き出されたそれは、妙にピュアで無理がなく、心に響く。

カトリックは自殺を認めないとよく言われます。私の考えでは、それはキリスト教が一番大事にする「愛」が自殺に欠けているからだろうと思います。人生は苦しく醜い。しかし苦しく醜いからそれを棄てるのは、ちょうど、うちの女房がデブで婆あになったから棄てるのと同じじゃありませんか。美しく魅力あるものを大事にするのは愛じゃありません。苦しく、醜いものでも大事に守りつづけよというのがキリスト教のいう「愛」のひとつの考えだ、と私は思っています。

「苦しくて祈れません」「不安で祈れません」「もう絶望して祈れません」「神様がいないような気がしてきましたので祈れません」「こんな目にあわせる神様、とても祈れません」というような祈れませんであっても、それは神との対話ですから既に祈りです。

道徳なんて若い者には必要だろうけど、年をとると必要なくなるね、体力気力が衰えて来ると、別に道徳を説かなくても、人間なんて自然に道徳に従うようになるものだ

     

ブログ一覧

  関連記事

0歳からはじまるオランダの性教育

2022/08/13   政治・社会, 読書記録

正直、たかが性教育とあなどっていたが、そこにはその国の態度というか、意志が如実に ...

サーキュラーエコノミー実践 オランダに探るビジネスモデル

現在の地球環境はすでにマイナスの状態であるので、サステナブル(sustainab ...

皇軍兵士の日常生活

2023/06/04   読書記録

戦争の映像くらいは誰でも見たことがあろう。しかしその爆発とか、突撃とか、その裏に ...

少女中国: 書かれた女学生と書く女学生の百年

2023/03/19   文学・評論, 読書記録

中国に関係する作家による小説がメインのため、日本とは切り離された世界のようにも思 ...

つみたて投資の終わり方 100年生きても大丈夫!: 人生後半に向けた投資信託の取り崩しメソッドを解説!

インデックス投資の積み立て方に関する本はすでにごまんとあるが、本書はその積み立て ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2025 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.