日本人が誤解している東南アジア近現代史 (川島博之/扶桑社)

書籍日本人が誤解している東南アジア近現代史(川島博之/扶桑社)」の表紙画像

購入価格: Kindle Unlimited(0円)

評価:

この記事は約1分30秒で読めます

ページをめくるごとにうなってしまう。

日本人が心の底ではアジアを見下していることなどを歯に衣着せぬものいいで指摘されると、思わずその通りです申し訳ありませんという気持ちにさせられる。

全日本人が読んでおいて損はない。しかし仮に全員が読んだところで、アジアに対する蔑視がおいそれと消えることはないのだろうが。

 
ある国について知りたい時に、その人口構成を見ることはとても重要な手がかりになる。例えば、若者が多い国は活気に溢れる。しかしその反面、政治は安定しない。反対に老人が多い国は、日本がそうであるように、政治は安定するが活気がなくなる。人口はある国のあり方を考える上で極めて雄弁なデータである。

ベトナムは中国と戦い続けてきた。強大な敵との戦いの連続であり、決して楽な歴史ではなかったが、不屈の闘志で1000年間独立を守ってきた。こんな話を聞いたことがある。ベトナムでは村から兵士が出征する時に兵士を村娘と交わらせた。それは出征する兵士への餞の意味もあろうが、兵士が戦死した場合でも子を残し、その子が再び中国と戦うためであった。父親が戦死した場合には子供は村中で育てるという。まさに抵抗の精神である。その歴史を深く理解しなかったのがアメリカである。ベトナム戦争に深入りして、結局負けた。

1602年にオランダ東インド会社が設立されて本格化したオランダのインドネシア支配は過酷だったようだ。オランダはイギリスやフランスのように多くの植民地を持たなかった。目ぼしい植民地はインドネシアだけである。だから、インドネシアから絞り取れるだけ絞ろうとしたのだろう。独立運動に対しても過酷に取り締まった。そんな経緯があったためか、インドネシア人は今でもオランダを嫌っている。そのために、インドネシアからオランダに留学する人は少ない。それはミャンマーやインドからイギリスに留学する人が多いこととは対照的である。ちなみにミャンマーのアウンサンスーチーもケンブリッジ大学に学んでいる。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき

ある日、ひとりの脳科学者の左脳が壊れて右脳だけが機能する状態になったという、極め ...

新・投資信託にだまされるな! ---買うべき投信、買ってはいけない投信

素人であればあるほど、どこかに資産運用の秘密があって、それを誰かが知っているもの ...

ビットコイン、強気にならずにはいられない理由

本書を読めば、ビットコインが貨幣の再発明ともなり得ることが実感を持って理解される ...

沖縄女生徒の記録 生贄の島

2022/08/11   文学・評論, 読書記録

いわゆるグロ描写の連続で、苦手な人は読むのも辛いだろう。 しかし、これは確かに人 ...

無名の人生

人生も折り返し地点を過ぎ、振り返れば名誉欲の追求に汲々としてきた我が人生だが、い ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.