人はどう死ぬのか (久坂部羊/講談社)

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この数ヶ月、朝起きるとまずこの本を読んでいた。死を思えばこそ、生が膨らむ。

そう遠くない将来、親は倒れ、そして死ぬ。その時、この本を読んでおいてよかったと思うに違いない。

そもそも、穏やかに死にたいなら病院に行くべきではないというのは、正直、考えたこともない発想であった。

もしもの時、今日か、明日か。目の前で愛する人が倒れたとて、救急車を呼ぶべきか呼ばざるべきか、その次元での心の準備が必要である。

「日本人はほんとうにありがたいお客だよ。何しろ、どこも悪くないのに検査を受けてくれるんだから」  欧米人の合理性では、検査はどこかが悪いから受けると理解されているのです。

「あなたは近在のナンバーワン・ドクターだそうですが、自分が病気になったら、だれに診てもらうのですか」「このあたりにはロクな医者がいないから、病気になったら死ぬまでだ」「自分が死ぬときはわかりますか」「それはわかる。歯が抜け、目が見えなくなって、脚が弱って歩けなくなったら、それが死ぬときだ」なんと自然で当たり前な答えでしょう。

当たり前の話ですが、自宅にいれば悲惨な延命治療を受ける心配はありません。だから、ぜったいに悲惨な延命治療を受けたくないと言うのであれば、助かる見込みがあっても病院に行かない覚悟が必要です。逆に、助かる見込みがあるのなら、病院で治療を受けたいと言う人は、悲惨な延命治療になるリスクを受け入れる必要があります。助かる見込みがあれば治療を受けたいけれど、悲惨な延命治療はぜったいにイヤというのは、両立しないのです。

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