レイシズム (ルース・ベネディクト (著), 阿部大樹 (翻訳) /講談社)

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言わずと知れた菊と刀の著者であるが、このような本を書いているとは知らなかった。

本書を読むと、人種に基づいた偏見がいかに根拠のないものであるかが完全に論破されている。

かの時代にこれほど崇高な見識を持った人間がいたことは人類の財産であり誇りだと言っていいが、しかし、いまだ無くなることのないレイシズムは、何もせずに人より優れていると思いたい愚か者がいまだ跋扈しているからだと言えよう。

人間の身体的特徴を戦争や大規模な迫害の根拠として挙げ、さらにそれを実行に移すまでになったのは、私たちのヨーロッパ文明が初めてである。レイシズムは西洋人がこの世に産み落としたものである、と言い換えてもいい。

少数派の生活を保障することは、マジョリティの側も、つまり今のところ迫害する側に立っているひとも、将来の生活について安心できるよう仕組みを作ることである。

英単語の初出や用法の歴史的変遷を記した「オックスフォード英語辞典」に本書から用例が採られていることが示しているように、racismという言葉を現代に広めたのがベネディクトですから、今回の翻訳ではその点を重視して、イギリス版Race and Racismを底本に用いて、邦題も『レイシズム』としました。

     

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