レイシズム (ルース・ベネディクト (著), 阿部大樹 (翻訳) /講談社)

書籍レイシズム(ルース・ベネディクト (著), 阿部大樹  (翻訳) /講談社)」の表紙画像

購入価格:693

評価:

この記事は約1分59秒で読めます

言わずと知れた菊と刀の著者であるが、このような本を書いているとは知らなかった。

本書を読むと、人種に基づいた偏見がいかに根拠のないものであるかが完全に論破されている。

かの時代にこれほど崇高な見識を持った人間がいたことは人類の財産であり誇りだと言っていいが、しかし、いまだ無くなることのないレイシズムは、何もせずに人より優れていると思いたい愚か者がいまだ跋扈しているからだと言えよう。

人間の身体的特徴を戦争や大規模な迫害の根拠として挙げ、さらにそれを実行に移すまでになったのは、私たちのヨーロッパ文明が初めてである。レイシズムは西洋人がこの世に産み落としたものである、と言い換えてもいい。

少数派の生活を保障することは、マジョリティの側も、つまり今のところ迫害する側に立っているひとも、将来の生活について安心できるよう仕組みを作ることである。

英単語の初出や用法の歴史的変遷を記した「オックスフォード英語辞典」に本書から用例が採られていることが示しているように、racismという言葉を現代に広めたのがベネディクトですから、今回の翻訳ではその点を重視して、イギリス版Race and Racismを底本に用いて、邦題も『レイシズム』としました。

     

ブログ一覧

  関連記事

少女中国: 書かれた女学生と書く女学生の百年

2023/03/19   文学・評論, 読書記録

中国に関係する作家による小説がメインのため、日本とは切り離された世界のようにも思 ...

子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から

一般的に日本人がイギリスと聞いて思い浮かべるイメージは決して悪くない。貧しくもな ...

リーダーのための経営心理学 ―人を動かし導く50の心の性質

給与水準を上げる前に、ちゃんとスタッフのモチベーションを気にかけてケアしているか ...

大インフレ時代! 日本株が強い

日本はお先真っ暗。ご多分に漏れず、私もそう思っていた。 しかし案外、それは一面的 ...

勤倹と貨殖(現代語訳)

誰でも知っているであろう、安田財閥の創始者、安田善次郎の自伝的一冊。 どこかのレ ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2025 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.