永久円安 (山田順 /ビジネス社)

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終始厳しい口調で粛々と事実らしきことが述べられているため、読んでいると気が滅入る。しかしこれが現実であれば、それはとにもかくにも受け止めるしかないものであろう。

結論としては、資産は円ではなくドルで持てということ。しかし、海外の株や投資信託を持つのも有効なはずだが、そこは特に触れられていない。

通貨は国力とイコールと考えれば、当然、こうにしかならない。円安というのは「日本売り」。つまり、国家の信用低下である。

ドルの信用を裏付けるものがあるかといえば、それは実際には存在しない。かつて金本位制のときは「金」がドルの価値を保証した。しかしいまはドルばかりか、世界のどの通貨もなんの信用の裏付けもなく発行されている。そんななかで信用の裏付けを求めるとすれば、それは通貨発行国の経済、国力ということにしかならない。つまり、アメリカ経済が弱くなれば、ドルは信用されなくなり、ドル安になる。ところが、いったん基軸通貨になると、経済が弱くなろうと、信用は続く。なぜなら、世界中がドルを持って、それで資産をカウント・保持しているので、大きく変動されては困るからだ。この基軸通貨であるということは一種の特権である。つまり、この特権を握ることでアメリカは、世界の金融・経済、ひいては政治までを動かせる力を持っている。

日本の産業構造の大転換が円安を加速させたとすれば、もう円は2度と高くはならない。つまり、ドルに対しては今後もどんどん安くなっていくことになる。円はこれまで何度か循環的に最安値をつけている。2000年代に入っての最初の最安値は2002年の125・38円、次が2007年の117・75円である。したがって、「循環円安論」にしたがえば、このラインに達したとき円高に転じることになる。しかし、そんなことはもう2度と起こらず、いずれ130円、そして135円、140円となっていくだろう。1990年のバブル崩壊時が144・79円だったから、ここまで戻るのは確実と思われる。

     

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