永久円安 (山田順 /ビジネス社)

書籍永久円安(山田順 /ビジネス社)」の表紙画像

購入価格:1320

評価:

この記事は約1分29秒で読めます

終始厳しい口調で粛々と事実らしきことが述べられているため、読んでいると気が滅入る。しかしこれが現実であれば、それはとにもかくにも受け止めるしかないものであろう。

結論としては、資産は円ではなくドルで持てということ。しかし、海外の株や投資信託を持つのも有効なはずだが、そこは特に触れられていない。

通貨は国力とイコールと考えれば、当然、こうにしかならない。円安というのは「日本売り」。つまり、国家の信用低下である。

ドルの信用を裏付けるものがあるかといえば、それは実際には存在しない。かつて金本位制のときは「金」がドルの価値を保証した。しかしいまはドルばかりか、世界のどの通貨もなんの信用の裏付けもなく発行されている。そんななかで信用の裏付けを求めるとすれば、それは通貨発行国の経済、国力ということにしかならない。つまり、アメリカ経済が弱くなれば、ドルは信用されなくなり、ドル安になる。ところが、いったん基軸通貨になると、経済が弱くなろうと、信用は続く。なぜなら、世界中がドルを持って、それで資産をカウント・保持しているので、大きく変動されては困るからだ。この基軸通貨であるということは一種の特権である。つまり、この特権を握ることでアメリカは、世界の金融・経済、ひいては政治までを動かせる力を持っている。

日本の産業構造の大転換が円安を加速させたとすれば、もう円は2度と高くはならない。つまり、ドルに対しては今後もどんどん安くなっていくことになる。円はこれまで何度か循環的に最安値をつけている。2000年代に入っての最初の最安値は2002年の125・38円、次が2007年の117・75円である。したがって、「循環円安論」にしたがえば、このラインに達したとき円高に転じることになる。しかし、そんなことはもう2度と起こらず、いずれ130円、そして135円、140円となっていくだろう。1990年のバブル崩壊時が144・79円だったから、ここまで戻るのは確実と思われる。

     

ブログ一覧

  関連記事

喧嘩両成敗の誕生

2023/06/17   歴史・地理, 読書記録

ふつうに考えれば、喧嘩両成敗などというのは判断することを放棄した、コインの裏表で ...

学問のすすめ

「現代語訳 学問のすすめ」の方が読みやすいことは間違いないが、古語による方がより ...

お金の話に強くなる! 為替のしくみ ~為替レートが動く理由と相場のカラクリがわかる!

金が欲しいという人はいくらでもいるだろうが、しかし、金のことをちゃんと知っている ...

全面改訂 第3版 ほったらかし投資術

2022年4月からここ一月ほど、米国株の下げ幅が半端ではない。インデックスのなん ...

魂をゆさぶる歌に出会う――アメリカ黒人文化のルーツへ

奴隷としてアメリカくんだりまで連れ去られたBlackたちにとって、歌は単なる歌で ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2025 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.