だれもわかってくれない 傷つかないための心理学 (ハイディ グラント ハルヴァーソン (著), 高橋 由紀子 (翻訳) /早川書房)

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読み通して思うのは、表紙とタイトルがしっくりこないということ。内容が素晴らしいだけに惜しい。そんなに深刻な話じゃない。誰しも経験があるだろう人間関係のもどかしさ、すれ違い、勘違い。これまでの人間関係を振り返るくらいの気持ちで読めばいい。

ムカつくあいつを産んだのはあなた

なんであんな奴が生きてるんだろう? そんな全否定的感情を覚えたことはないだろうか。しかしそれが、その人自身の問題であることはほとんどない。ただ、あなたのかけている色眼鏡によって、彼や彼女がミソになったりクソになったりするだけだ。

人は何かを認識するとき、何らかの解釈をしているという感覚を持たないからです。私たちはそこにあるものをそのまま見ていると思い、そこに解釈が含まれているとは思いません。

世界は人の数だけある

インターネットのブラウザを考えてみよう。Google ChromeやSafari、Firefoxといろいろある。あれは一種のインタープリター(通訳者)なので、同じソースコードでもブラウザごとに解釈の仕方が異なる。

だからこそ、Google Chromeでは綺麗に見えるのに、Safariではぐちゃぐちゃということが起こる。我々はこのブラウザと同じである。私の見ている世界と、あなたの見ている世界は違う。それもしばしば絶望的に、違う。

好かれるときは同様の理由で好かれ、嫌われるときはさまざまな理由で嫌われる 。

ハッとさせられる。アンナ・カレーニナの法則の双子だと言っていい。「すべての幸せな家庭は似ている。不幸な家庭は、それぞれ異なる理由で不幸である。」

臆病で勇敢な人間

この世にはざっくり分けると、保守的な人と、先進的な人がいる。しかし、実は新しいことが嫌いな人間、好奇心がない人間はいない。赤ん坊を考えてみればわかるが、新奇なものを求めるのは人間の本能であって、ただ、それをどう処理しているかでしかない。

成功の可能性は実際の成功に比べて不確実であるがゆえに、より人の興味を引きやすい

たとえば野球の試合。考えてみれば、人がもっとも興奮するのは、試合の結果が出た時よりも、勝つか負けるかというその過程である。保守の鏡のような、石橋を叩いて生きるあの人やこの人も、どうして、何より不安定・不確定な瞬間を喜ぶのである。

敵と味方しかいない

出会えば皆殺しにしていたような原始の時代に比べれば、現代、人間はずいぶんと平和で友好的になった。だが、我々のDNAにはいまだ深く刻み込まれている。あいつは敵か味方か、どちらか判断しなければ、不安で安心できないのだ。

相手が「身内」であると考えれば、相手の成功や能力もさほど脅威とならず、むしろその人から反映される栄光を享受できるわけです。心理学者はこれを栄光浴(bask in reflected glory)と呼びます。わが子が学校や遊び場でほかの子より優れているのを見れば、親は栄光浴できるし、自国の選手がオリンピックで金メダルを取れば、国中が栄光浴できます。

他人の喜びを自分の喜びにできる人がいる。あれは栄光浴が上手い人だったのかと思う。私は日光浴も苦手だが、栄光浴はもっと苦手だ。

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軽い読み物としては悪くない。中学生くらいの時に読みたかったなと思う。

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