奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (ジル・ボルト テイラー (著), Jill Bolte Taylor (原著), 竹内 薫 (翻訳)/新潮社)
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ある日、ひとりの脳科学者の左脳が壊れて右脳だけが機能する状態になったという、極めて特殊な状況が克明に記録されている。
著者は脳に関するプロフェッショナルであるだけに、自己を内側から解体・解剖していくような描写が興味深い。
感覚的な右脳だけの状態は、日夜左脳ばかりを酷使して生きている一般人からすると、常に恍惚としてトリップしているようにも思われて、一種の羨望を感じなくもない。
脳の主な機能が右側へシフトしたことによって、わたしは、他人が感じることに感情移入するようになっていました。話す言葉は理解できませんが、話す人の顔の表情や身振りから多くのことを読み取ることができたのです。エネルギーの動きがわたしに与える影響については、特に注意を払いました。エネルギーを与えてくれ人がいるかと思えば、エネルギーを吸い取る人もいることに気づいたのです。
このごろわたしは多くの時間を使って、「考えること」について考えています。その理由は、脳の素晴らしさがわかってきたから。ソクラテスが述べているように「考察のない人生は、生きる価値がありません」。
結局のところ、わたしたちが体験するものはすべて、わたしたちの細胞とそれらがつくる回路の産物です。ひとたび、いろんな回路が、からだの内側でどんなふうに感じられるかに耳を澄ませば、あなたは世界の中でどうありたいかを選ぶことができます。
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