リーダーのための経営心理学 ―人を動かし導く50の心の性質 (藤田 耕司/ 日本経済新聞出版社)

書籍リーダーのための経営心理学 ―人を動かし導く50の心の性質(藤田 耕司/ 日本経済新聞出版社)」の表紙画像

購入価格: 人にもらった(0円)

評価:

この記事は約2分5秒で読めます

給与水準を上げる前に、ちゃんとスタッフのモチベーションを気にかけてケアしているかというのは、昨今の慢性的な低賃金の状況では「いやいや舐めんな金払え」と言われそうではある。しかし私の場合、「十分な金さえ払えば人はほっといてもちゃんと働く」という、行き過ぎた資本家マインドがあったため、考えさせられるものがあった。

会社経営を2年近くやってみて思うのは、会社というのはまったくもって資本と労働のバランスをとるだけのドライな世界ではなく、もっとドロドロとした湿っぽい感情で動いている世界なのだということ。

逆に言えば、実務的な能力はイマイチでも、人身掌握術に長けていればある程度の経営者にはなれてしまうのではないだろうか。

この事例の場合、同じ内容の助言であっても、この社長よりもずいぶん年下である私の意見としてお伝えするより、この社長もその実績と能力を認める松下幸之助氏が実際にやられていたこととしてお伝えした方が、社長も受け入れやすいでしょう。同じことを言うにしても、「誰が言うか」によって、その言葉の力は大きく変わります。言葉に最大限の力を持たせるためには、誰の言葉として伝えるべきか。こういった点も、臨機応変に考えて対話を進めることが大切になります。

モチベーションを考えるうえで給与水準や給与体系は重要な要素です。しかし、動機付け・衛生理論から考えれば、モチベーションを上げるためには衛生要因である給料を上げるよりも、達成や承認といった動機付け要因を増やすことの方が効果的だと考えられます。そのため、達成感が得られる仕事の内容なのか、褒める、感謝の言葉を伝えるといったことができているかなどについてお聞きし、そういったことが十分にされていないのであれば、給与水準や給与体系を変える前に、それらのことに取り組んでいただくようにします。

アメリカの心理学者クレイトン・アルダファーがマズローの欲求段階説を発展、修正し、提唱した「ERG理論」です。ERGとは、次の3つの欲求を表す言葉の頭文字をとったものです。

・Existence(生存欲求):生きることに対する物質的・生理的欲求で、食べ物や住環境などの欲求や賃金、雇用条件、安全な職場環境などに対する欲求。
・Relatedness(関係欲求):家族や友人、上司、同僚、部下、その他重要な人と良好な人間関係を持ちたい、認められたいという欲求。
・Growth(成長欲求):自分が興味を抱く分野で能力を伸ばし成長したい、苦手分野を克服したいという欲求や、創造的・生産的でありたいとする欲求。

アルダファーは現代のような安定した状況では、マズローの欲求段階説のように下位の欲求が満たされると上位の欲求が生じるという形で段階的に欲求が生じるのではなく、状況に応じて、3つの欲求が並列的に生じることがあるとしています。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国

2022/07/27   読書記録

今年2022年2月にあったロシアのウクライナ侵攻を契機に手をとった。 一時は熱狂 ...

孤独を生きぬく キリスト教のメッセージ

2017年にカトリックの洗礼を受けた身としては、キリスト教に関することをもっと深 ...

決断力

Twitterで彼の考える「才能とは何か」というくだりを見かけて興味を覚えたので ...

サブリミナル・マインド 潜在的人間観のゆくえ

amazonでの評価は悪くなかったが、個人的にはあまりパッとしない内容であった。 ...

ビジネスエリートになるための 教養としての投資

株で億り人、すぐ儲かる、その手の本を読み漁る前に、この本を読めば投資というものの ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.