ビジネスエリートになるための 教養としての投資 (奥野 一成/ダイヤモンド社)

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株で億り人、すぐ儲かる、その手の本を読み漁る前に、この本を読めば投資というものの基本が理解でき、嫌でも冷静になる。

何をやるにも、腰を据えて根気強く、地道に勉強して、日々トライ&エラーを繰り返すこと。それができる人にしか成功はないのだろうと、改めて思う。

投資とは、チャートとにらめっこして売り買いを繰り返すことではありません。それは「投資」ではなく「投機」です。

「日本人はリスクを取るのが苦手」などと言う人もいますが、そんなの大ウソです。日本には明治時代に創業して今に至っている企業がたくさんありますが、創業当時は、とてつもなく大きなリスクを抱えて、商売に邁進していたのです。そして三菱財閥、三井財閥、住友財閥、安田財閥、大倉財閥、渋沢財閥といった富豪の一族が財閥を形成して群雄割拠していきました。財閥とは家族や同族が親会社をつくり、その傘下にさまざまな種類の産業に属する企業を統治している企業形態です。自ら資金を出し、リスクを引き受けて投資を実行する。そして大勢の社員を雇って働かせる。財閥の長はまさに資本家そのものといっても良いでしょう。日本の資本家マインドは、明治時代の幕開けとともに欧米から入ってきて、根付いていったのです。 (中略) 敗戦によって日本では、次の世代に向けて資本家マインドが定着する機会を失った、とでも言えば良いでしょうか。それは2つの点で、日本人の資本家マインドを喪失させたと考えられます。第一は財閥解体です。皆さんも、歴史の教科書で少し聞いたことがあるのではないでしょうか。これは連合国による日本の占領政策のひとつです。どうやら連合国側には、日本の財閥が軍国主義を制度的に支援したという認識があったらしく、これを解体すれば軍国主義は消滅すると考えていたようです。この政策によって三井本社、三菱本社、住友本社、安田保善社といった持ち株会社は解散させられ、かつこれら4大財閥の構成員や持ち株会社の役員、監査役は産業界から追放されました。これによって資本家としての成功体験が完全に失われました。

株主優待目当てで投資する人も同じです。よくいるのがお店で使える優待チケット目当てで外食産業の株式に投資する人。日本の外食産業なんて、大半の会社が上場ゴールだという話をしました。そんな会社の株式に投資しても、利益の増加は期待できません。それなのに、「株主優待がお得だから」という理由で会社を選んでいる人は、そもそも長期株式投資のなんたるかを全く理解できていないので、やはり株式投資には近づかないことをお勧めします。よく考えていただきたいのですが、株主優待を出すということは、結局のところ会社の価値を切り売りしているだけに過ぎないのです。これは身の丈以上の高配当を出す会社も同じです。

     

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