今ここを生きる勇気 老・病・死と向き合うための哲学講義 (岸見 一郎/NHK出版 )

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悪くないとは思うのだが、どうも全体的に嘘くさい。

端々に、確かにその通りだなあと思うことはあるが、熱量が伝わってこない。著者が一生懸命生きてきて、苦悩もいろいろとあってその上でたどり着いた哲学だというのはわかる。

しかし、おそらくは、何度も似たような講義をして人に話して聞かせる中で、(本当に自分自身、そう思っているか? それを今でも心の底から信じているか?)という疑い、つまり真理を探究し続ける精神を失ってしまったのではないか。

だからだろう、自分に酔っているような印象を受ける。Amazonでの評価はかなり良いものの、私にとっては、著者はかつては素晴らしかったらしいが、今はただ同じことを繰り返し話すだけで、思考停止してしまっているのでは、としか思えない。

現代の脳科学では、自分がある行動を選んでいるのではなく、行動は無意識のうちに選ばれているのであって、意識はそれを追認するだけだと考えます。選んだのは自分ではなく、実際には脳であるのに、自分で選んだと後から思い込むというのです。

神経症についていえば、アドラーは症状を除去すればいいとは考えず、症状の目的を考えます。ある目的のために作り出されるものなので、その目的を変えないまま症状を除去すれば、アドラーの言葉を使えば、「何のためらいもなく別の症状を作り出す」ことになります。

女性の老いについて、アドラーは、若さと美にしか自分の価値を認めてこなかった女性は、更年期になると「人目を引く仕方で苦しみ、またしばしば自分に不正がなされたかのように、敵意のこもった防衛態度をとって不機嫌になり、さらにはこの不機嫌からうつ病になることもある」といっています。

     

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