今ここを生きる勇気 老・病・死と向き合うための哲学講義 (岸見 一郎/NHK出版 )

書籍今ここを生きる勇気 老・病・死と向き合うための哲学講義(岸見 一郎/NHK出版 )」の表紙画像

購入価格: Kindle Unlimited(0円)

評価:

この記事は約1分20秒で読めます

悪くないとは思うのだが、どうも全体的に嘘くさい。

端々に、確かにその通りだなあと思うことはあるが、熱量が伝わってこない。著者が一生懸命生きてきて、苦悩もいろいろとあってその上でたどり着いた哲学だというのはわかる。

しかし、おそらくは、何度も似たような講義をして人に話して聞かせる中で、(本当に自分自身、そう思っているか? それを今でも心の底から信じているか?)という疑い、つまり真理を探究し続ける精神を失ってしまったのではないか。

だからだろう、自分に酔っているような印象を受ける。Amazonでの評価はかなり良いものの、私にとっては、著者はかつては素晴らしかったらしいが、今はただ同じことを繰り返し話すだけで、思考停止してしまっているのでは、としか思えない。

現代の脳科学では、自分がある行動を選んでいるのではなく、行動は無意識のうちに選ばれているのであって、意識はそれを追認するだけだと考えます。選んだのは自分ではなく、実際には脳であるのに、自分で選んだと後から思い込むというのです。

神経症についていえば、アドラーは症状を除去すればいいとは考えず、症状の目的を考えます。ある目的のために作り出されるものなので、その目的を変えないまま症状を除去すれば、アドラーの言葉を使えば、「何のためらいもなく別の症状を作り出す」ことになります。

女性の老いについて、アドラーは、若さと美にしか自分の価値を認めてこなかった女性は、更年期になると「人目を引く仕方で苦しみ、またしばしば自分に不正がなされたかのように、敵意のこもった防衛態度をとって不機嫌になり、さらにはこの不機嫌からうつ病になることもある」といっています。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

聴いて、話すための オランダ語基本単語2000

ビール(bier), シロップ(siroop), マドロス(matroos ...

知価革命 工業社会が終わる 知価社会が始まる

1990年に書かれた本であることを考えると、これぞ予言書というべき内容である。 ...

無名の人生

人生も折り返し地点を過ぎ、振り返れば名誉欲の追求に汲々としてきた我が人生だが、い ...

人はどう死ぬのか

この数ヶ月、朝起きるとまずこの本を読んでいた。死を思えばこそ、生が膨らむ。 そう ...

内部の人間の犯罪 秋山駿評論集

あらゆる事柄が単純化され、あるいは曲解される現代ではとても発表できそうにない論理 ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.