サラ金の歴史 消費者金融と日本社会 (小島庸平/中央公論新社)

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サラ金は「サラリーマン金融」の略だというのは常識なのだろうか。私はまずそこになるほどと感心してしまった。

あの手この手の驚くべき手法で日本に消費者金融文化が定着していった歴史の流れは圧巻である。

浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじとはよく言ったものだが、金貸しがいなくなることもまた、未来永劫ないだろう。

商品の開発や新キャッチコピーの採用ととともに、サラ金が女性を取り込むために始めたのが、ポケットティッシュの配布だった。かつてのサラ金の販促品といえば、マッチが主流だった。たとえば、プロミスは、一九六六年にマージャンの東南西北をあしらった四種類の宣伝用マッチを配布し、四種類をすべて集めて店舗に持ち込めば二〇〇〇円を進呈するというキャンペーンを打っている。当時の雀荘にタバコとマッチはつきものだったから、マージャン好きの男性にアピールしようという意図は明らかだろう。

「質屋よさようなら、サラ金よこんにちは」。そんな見出しが『週刊読売』二一巻五号に躍ったのは、一九六二年二月のことだった。サラ金は、直接的には質屋を代替する形で成長していく。 (中略) なかには朝に鍋釜を質に入れて半纏を請け出して仕事に行き、夕方に半纏を質に入れて鍋釜を請け出すといった利用もなされていた

田辺は、酒やタバコの自動販売機が終夜営業を実現していることにヒントを得て、「現金の自動販売機」を作ろうと考えた。自動販売機メーカーの立石電機(現:オムロン)にアイデアを持ち込んで一台四〇〇万円をかけて開発し、一九六六年七月には第一号機を銀座通りに据え付けている。すでに取引のある既存顧客に対して穴の開いたパンチカードを事前に発行し、借りたい時にカードを機械に入れると二 ~一〇万円の現金が出てくる仕組みだった。 (中略) 「電子頭脳による現金自動販売機」などという大仰なキャッチコピーも読み取れる。 (中略) さらに、一九七〇年には、マルイトも日本クレジットセンターと類似の「現金の自動貸付機」を導入した。名称はマルイト・スペシャル・ローンの頭文字を取って M SLとし、キャッチコピーは「カードを入れるとキャッシュがポン」だった。

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