ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く (岡田 斗司夫/PHP研究所)

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ユーチューバーについて割かれているのは全体の半分にも満たず、テクノロジーの進歩が人々をどう変えるか、そして世界はどうなるかということに主軸が置かれている。

新たなテクノロジーでもっとも変化するのは人々の価値観。そして一度変化した価値観は元には戻らない。

本書を読んで、来たるべき世界に戦々恐々とする人もいようが、嫌でもやってくるWeb3だかメタバースだかで激変する世界にどうにかこうにか対応していくしかない。

というか、べつに対応しようとなんか思わなくても、いつの間にかそれが普通になっているのがこの世界。どれだけ世辞にうといボケーっとした人でも、今ではボケーっとスマホいじってる現実を思えば、なるようにしからないと諦めるべし。

超メジャーな人は生き残っています。いなくなったのは、それまでそこそこ食えていた中間のプロです。その代わり、無料で人を笑わせたり、マンガを描いたり、小説を書いたりするボランティアが、それこそ何百万人と現れてきました。無料で美味しいレシピを提供する無名の主婦に、面白いマンガをツイッターにアップする学生、いくらでも好きに使ってくださいとたくさんのイラストを無償で公開するサイト。無料で働く人たちの善意が、本来だったらお金をもらえたはずの人たちから仕事をどんどん奪っていくのは、皮肉としか言いようがありません。「中間はいらない」というのは、そういうことです。

グーグルなんかの人たちは「みなさん自身が情報を集めて判断してください」と言うけど、そんなことができるのは一部の人であり、情報消費者ではないでしょう。消費者側の能力を高めて、フェイクニュースによる被害を防ごうというのは原理的に無理じゃないでしょうか。それどころか、「ウソよりも真実を信じろ!」と相手に強制するのは、近未来社会では「マナー違反」になってしまうかもしれません。「宗教より科学を信じろ!」と言うのと同じで、傲慢とまでは言わないけど、みんなに要求するのは無理がある。極論すれば、もうすでに「ニュースが真実かどうか判断する」ことはたいていの人にとって重要ではなくなっている。フェイクニュースを受け入れることが「文化」になりつつあるんです。

人間の政治家はキャラさえ立っていれば十分、というよりキャラがすべてです。例えば、何年も水害のなかった地域でもうすぐ川が氾濫する、そう人工知能が予測したとしましょう。川が氾濫したら何百人もの死者が出るかもしれないけど、避難をしたら経済的な損失を被る人が出るかもしれない。こんな時、「川が決壊する可能性は××パーセント」と人工知能が告げるだけではダメなんです。人間の政治家が決断して、「避難してください」と住民に指示する。避難したのに川が決壊しなかったら、その政治家が謝る。「あいつが言うんだから避難しよう」、「あいつが謝ってくれたんならしょうがない」そういう痛みを引き受けるのが、人間の政治家の役割なんです。

     

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