死は終わりではない (エリック・メドフス (著), エリーサ・メドフス (著), 峰岸計羽 (翻訳)/きこ書房)

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ひとことで言えば、20歳で自殺した青年の霊をイタコが呼び出して語らせた本。

ああ、そういう系ねと切り捨てるのはたやすい。しかし、私はそれ以上のものを感じた。

それは私がある程度の歳を重ねて、刻々と死が近づいているために、死に何かしらの希望を見出したいという願望が、この本に真実味を帯びさせたのかもしれない。

理由はなんだっていいが、私はこの本の内容を信じられる。いや、たぶん信じる信じないとかいう命題の立て方自体がどうでもいい話で、まあ、そういうもんだろうねと、漠然と感じるのである。

どうやらそれは私だけではないらしい。というのも、amazonでの評価コメントなんかには、もっとあからさまな批判があってもよさそうなものなのに、案外に見当たらない。

かつて死後の世界を全否定する人がいて、あの世があったとして、今まで生きて死んだ人々、何百億もの人間が収まる、そんなスペースがいったいどこにあるものかと嗤っていた。

典型的な、この世の「カタチ」がすべてで、この世の「ルール」でしかモノゴトを考えられない人の意見である。

かつて海の果てには怪物が住んでおり、野心的に過ぎる航海者を呑み込んでしまうのだと、本気で信じられていた。

現代を生きる我々は、それを笑うことができる。同じように、そう遠くない未来、かつて人類は死とはチリになり無になることだと信じて恐れていたと、笑われる日がくるのではないか。

ばかばかしい戯言に聞こえるかもしれないが、私はかなり本気でそう思っている。

呼吸や貧乏ゆすりやまばたきのような、人間が無意識にやっている細かい動き――ぼくも人間だったときはやっていた――も、もう必要ないようだった。欲求も欲望もない。ぼくは、ただ存在していた。ひたすら純粋にシンプルに。

アホみたいに時間がかかる難しいことだろうと、好きで好きでしょうがないというものを見つけよう。たとえば郵便局員としての仕事が終わったら、かたわらにいる毛のない猫にセーターを編んでやるとか。そんなひとときこそがきみの魂に最高の栄養を与えてくれるんだよ。これがぼくの言いたいこと。

ぼくがあの両親のもとに生まれたのは、学びを深められるように手助けをしてもらうためだった。つまり、学びに必要な、安全で愛情にあふれた環境を提供してくれる親かどうかってこと。ぼくの魂は、もっとダメな親を選ぶこともできただろう。でも、そうしていたら、ぼくは人間関係をいまほど理解できるような人生は送れなかっただろう。ぼくは、他人とも自分自身ともつながろうという気になれなかっただろうし、愛とは何かも理解できなかっただろう。それに、ぼくが大家族に生まれたのは、そうすることでもっと多彩な人間関係を学べると、魂が考えたからだ。

     

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