図解 カメラの歴史 ダゲールからデジカメの登場まで (神立尚紀/ブルーバックス)

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「すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」とは、よく言ったものである。慶應義塾大学の塾長であった小泉信三の言葉だが、私の信条である。

カメラとは何か

簡単に今すぐプロみたいにうまく撮れるという類のハウツー本はごまんとあるが、カメラを始めるすべての人が最初の段階で読むべき本だと思う。いま自分が持っているカメラなるものが、いつ始まり、何がどうなって現代のような形になったのかという歴史的経緯が概観できる。すると、自分の持っているカメラが、先達の血と汗と涙の結晶というべき、感動的なモノにも思えてくる。

日本のカメラが花開く

「ニコン神話」のはじまりという章にある話には感銘を受けた。1950年、日本製のレンズがまだ評価されていない頃の話だ。ある夕暮れ時、日本の新製品のレンズだと言って、「ライフ」誌の写真家デビッド・ダグラス・ダンカン氏を数枚撮影した。

「日本製のゾナーレンズです」と説明すると、彼は小馬鹿にするように「ほほう、日本製のキャデラックはどこにあるだい」と笑った。後日、彼のもとにその時に取った写真が届けられた。その写真に彼は驚いた。夕暮れ時で、光量不足だと思っていたのにも関わらず、あまりにもクリアに写っていたからだ。

その時使われたレンズはニッコール85ミリF2だったが、彼は反駁する。「あれは黄昏どき、灯りをつけない状態だった。あんな暗がりで85ミリF2はあり得ないよ。(中略)50ミリF1.5だと信じている」と。

知らなければわからない話

このくだりは、カメラの絞りや露出を理解し始めた私にはなるほどと、深く感じ入るものがあった。私はひとり、声を出して唸っていた。絞りや露出を知らなければ、このやり取りの機微も理解できないに違いなく、知っているからこそおもしろいと思えたのである。

とまれ、本書には大学の授業などで使われてもおかしくないレベルの知識が満載されている。写真を志すすべての人におすすめしたい。

     

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