牧師、閉鎖病棟に入る。 (沼田 和也/実業之日本社)

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著者の方とは数年前よりTwitterでよく交流させていただいていたのだが、ご著書をお持ちということを最近知り、拝読。

著者はプロテスタントの牧師で、私は一カトリック信者であるのだが、宗派を超えてキリスト教に関するリアルな気づきが多く、一気に読まされた。

わたしは今まで、「自殺はよくない」とか「自分を傷つけてはいけない」とか、「自分を愛そう」などと語ってきた。しかし彼の一言の前に、すべての言葉が飛んだ。ありのままの自分を愛そう? この子たちはもうじゅうぶん、自分の「ありのまま」とやらを見せつけられてきたんじゃないか? この子たちに言うのか、「『あなたには神が宿っている』って聖書には書いてあるよ。だから神が宿るような、貴い自分を傷つけちゃだめだよ」って?

キリスト教には「罪」という言葉がある。神や人に対して背信行為をしたという具体的な悪事について指す場合も、もちろんある。しかし聖書で使われるギリシャ語がほんらい持っていた意味は、「的を外すこと」である。聖書には「あなたがたは、自分が神の神殿であり、神の霊が自分たちの内に住んでいることを知らないのですか。」(コリントの信徒への手紙一 三章一六節、新共同訳)とある。

 これは十字架に磔にされた、イエス・キリストのイコンだ。その心臓が動き、あたたかい血が通っているイコンだ。彼がここに拘束されているから、世のなかは「まともな」人たちだけで独占していられるのだ。世のなかの「まともさ」を、彼が贖っているのだ。

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