ぼくたちの離婚 (稲田 豊史/KADOKAWA)

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ゴシップ的な軽い気持ちで読み始めたが、想像を超えて読まされてしまった。

小林秀雄だったか、本当にあった現実の話ほど人をひきつけるものはないとか言っていたが、まさにその通り。

この2000年の間に人間が生み出した高尚な哲学とて、結局はこのようなあまりにも下世話で、しかしどうしようもなく現実的な問題=命題から発展したに違いない。

これを読んで、私は絶対に離婚なんかしない、こんなバカじゃないと思うのは浅はかというものである。誰しも人間、ころびたくてころぶ人はいない。

では離婚という結末を避けるためにはどうすべきか? 結婚しないことである。それ以外に答えが見つからない。

結婚は人生の他の選択と違って、唯一〝相手〟がいる。上京や進学や就職に相手はいない。自分で頑張ればいい。だけど結婚は違う。そこを、僕は間違えていた。頑張ってもしょうがないことが世の中に唯一あるとすれば、結婚です。

吉村さんは若いベビーカー夫婦の姿を見て、「金槌で頭を殴られたような気分になった」という。「彼らは自分の身に降りかかってきたことから逃げ出してない。気持ちいいからって生でセックスして子供ができちゃった──といった、偶発的だけどこの先の人生を決定づけてしまった物事を、ちゃんと引き受けて親になった。僕みたいに、いい年して自己実現とか芝居とか言って、責任から逃れようとしていない。ああ、僕ができなかったのはこれだったんだ、と」

いつか関係が修復できるかもしれないって?人生は〝時間的に〟有限なのだ。いつ好転するかわからない状況などに、有限の人生を賭けることなどできない。1分1秒ごとに我々の心身は衰え、感性は鈍り、再出発の障害となる。時間がないのだ。

     

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