ぼくたちの離婚 (稲田 豊史/KADOKAWA)
購入価格:851円
評価:
この記事は約1分22秒で読めます
ゴシップ的な軽い気持ちで読み始めたが、想像を超えて読まされてしまった。
小林秀雄だったか、本当にあった現実の話ほど人をひきつけるものはないとか言っていたが、まさにその通り。
この2000年の間に人間が生み出した高尚な哲学とて、結局はこのようなあまりにも下世話で、しかしどうしようもなく現実的な問題=命題から発展したに違いない。
これを読んで、私は絶対に離婚なんかしない、こんなバカじゃないと思うのは浅はかというものである。誰しも人間、ころびたくてころぶ人はいない。
では離婚という結末を避けるためにはどうすべきか? 結婚しないことである。それ以外に答えが見つからない。
結婚は人生の他の選択と違って、唯一〝相手〟がいる。上京や進学や就職に相手はいない。自分で頑張ればいい。だけど結婚は違う。そこを、僕は間違えていた。頑張ってもしょうがないことが世の中に唯一あるとすれば、結婚です。
吉村さんは若いベビーカー夫婦の姿を見て、「金槌で頭を殴られたような気分になった」という。「彼らは自分の身に降りかかってきたことから逃げ出してない。気持ちいいからって生でセックスして子供ができちゃった──といった、偶発的だけどこの先の人生を決定づけてしまった物事を、ちゃんと引き受けて親になった。僕みたいに、いい年して自己実現とか芝居とか言って、責任から逃れようとしていない。ああ、僕ができなかったのはこれだったんだ、と」
いつか関係が修復できるかもしれないって?人生は〝時間的に〟有限なのだ。いつ好転するかわからない状況などに、有限の人生を賭けることなどできない。1分1秒ごとに我々の心身は衰え、感性は鈍り、再出発の障害となる。時間がないのだ。
- 前の記事
- 2022――これから10年、活躍できる人の条件
- 次の記事
- 美術館の誕生―美は誰のものか
ご支援のお願い
もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。
Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com
ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。
関連記事
サーキュラーエコノミー実践 オランダに探るビジネスモデル
2021/11/28 サイエンス・テクノロジー, 読書記録
現在の地球環境はすでにマイナスの状態であるので、サステナブル(sustainab ...
お金の話に強くなる! 為替のしくみ ~為替レートが動く理由と相場のカラクリがわかる!
金が欲しいという人はいくらでもいるだろうが、しかし、金のことをちゃんと知っている ...
An Encouragement of Learning (English Edition)
日本語版と併読すると、英語の勉強にもなって、これまた最高の一冊。 本多静六の書籍 ...