絶後の記録—広島原子爆弾の手記 (小倉豊文/中公文庫)
購入価格: 不明
評価:
この記事は約2分55秒で読めます
正直、もっと歴史的な経緯や逸話が知りたかったのだが、そのようなものは全体の3分の1程度で、あとはオリエント工業に代表される、現代のラブドールの成り立ちや、そのユーザーのコメントに多くが割かれている。
もともとダッチワイフの開発は、戦地における娼婦の代わり(性病予防の観点)に軍事目的で開発されたり、南極越冬にあたっての性欲処理など、実際的な目的のために作られたという。
それはそうかもしれないが、しかし、なぜ手淫ではいけないのかが、どうもよくわからない。そのようなシビアな状況であればこそ、便所で用を足すのと同様、ササッと右手で済ませればよいではないか。
思うに、開発目的なんてものは大義名分で、実は現代同様、単なる趣味愛好でしかなかったというのが本当のところではないだろうか。
南極でのセックス処理問題。歴史上の極地探検記には精神に異常を来す人物がよく登場し、性的欲求不満との関連が示唆されていたからだ。実は明治時代の日本にも、この問題に直面した人物がいる。白瀬矗がその人。白瀬は1912年に日本人で初めて南極探検に挑み、極点には遠く及ばなかったが氷上に日章旗を立てて帰国した人物だ。「旧日本軍が開発した『疑似女体』」で挙げた『帝国陸軍 戦場の衣食住』によると、白瀬はセックス処理のために何か道具を持参したわけではなかった。代わりにマスターベーション以外の方法として、ペンギンを使って獣姦を行ったという。
セックスに何らかの制約を受ける障害者へのケアは、福祉の観点からも無視できない問題。そうした人にとってダッチワイフ、ラブドールが救いとなる例は少なくないそうだ。そのためオリエント工業が現在も10%の障害者割引を行っているのは、業界でよく知られた話。
ブルセラ店の草分け、アド新宿の方のコメント。客商売としてのスタンスは確かにその通りで素晴らしいのだが、しかし、何かひっかかるものを感じるのは私だけだろうか。
客商売としてただ普通のことをやっているだけ。これがもし高級ブランド店だったとしてもやることは同じです。ブランド品でも古いパンツでも、お客様はお客様でしょう? 古いパンツだからって買いにくるお客様を変態扱いしてバカにしていたら、誰も来なくなるのはあたり前ですよ。普通にちゃんと接客して、要望を聞いてそれに応える。さっき言ったブルマの材質やゴムの形みたいなことも、ブランド品のバッグの留め金がどうのという話と同じ。細かいリクエストにまできちんと対応できないと、リピーターはついてきてくれないですよね
- 前の記事
- 食品の裏側 みんな大好きな添加物
- 次の記事
- 愛はなぜ終わるのか—結婚・不倫・離婚の自然史
ご支援のお願い
もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。
Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com
ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。
-
読書記録
2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。
関連記事
死刑囚の記録
2014/03/19 book-review book, migrated-from-shintaku.co
今年一番、いや、いままで読んだ本の中でトップ10には入る良本。 単なる死刑囚にま ...
日本人へ 国家と歴史篇
2014/02/03 book-review migrated-from-shintaku.co
この人の本は初めて読んだが、いかにもインテリなやり手女の強気な物言いという感じが ...
一神教の誕生-ユダヤ教からキリスト教へ
2017/08/15 book-review book, migrated-from-shintaku.co, religion
来年にはカトリックの洗礼を受けるにあたり、そもそも神とはなんぞやといろいろ読みあ ...
糞尿譚
2021/07/08 book-review book, migrated-from-shintaku.co
「ウンコはどこから来て、どこへ行くのか」の中で紹介されており、手にとった。まず ...
「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活
2015/10/27 book-review migrated-from-shintaku.co
すばらしい本やった。戦後日本の異常なまでの食生活の欧米化の経緯がよくわかった。食 ...