愛はなぜ終わるのか—結婚・不倫・離婚の自然史 (ヘレン・E・フィッシャー 著, 吉田 利子 訳/草思社)

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福沢諭吉の「福翁自伝」を読むと、オランダ語を通じて科学から政治まで、あらゆることを貪るにように学んだ姿が描かれている。

しかし明治になると、蘭語の価値が薄れていき、英語を学び直さなければどうにもならない状況になる(福沢の同期の一人が、蘭語だけでもうたくさん、今さら英語なんか学べるかというくだりは、現代でもよくある、時代の流れに翻弄される人間のリアリティがあって興味深い)。

それはともかく、現代はその延長線上にあるのだろう。我々はオランダを忘れ、米国そして英語一辺倒になってしまった。

それでも現実問題、「酸素」という日本語はオランダ語の直訳だったり、インキやガラスはオランダ語がそのまま日本語として根づいたものだったりで、他にもオランダ由来のものは探せばいくらでもある。

本書を通読すれば、日本にはない、あるいはかつてはあったのかもしれないが今では失われた「本物の智慧」のようなものが垣間見える。たとえ小国でも、いま改めてオランダに学ぶことは少なくないと思う。

日本が隆盛を誇っていた時代、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を著したエズラ・F・ヴォーゲルが日本に講演に来て、「日本人が科学技術で世界を制覇できると思うのはまちがいであります。日本にいちばんないものは何かというと、芸術とデザインです」と言ったという。

出島が築造されたのは1634年だが、いわゆる「鎖国令」とのちに呼ばれる通達は、1633年(寛永10年)から1639年(同16年)までの5回にわたって長崎奉行に付与されている。しかし、ここでは「鎖国」という言葉は使われていない。これらの政策の意図は、(1)キリシタン布教の阻止、(2)ポルトガル船の渡航禁止、(3)日本人の異国渡航禁止だった。 (中略) ここには国を「閉ざす」という感覚や意識はなかった。鎖国は「鎖国」というコンセプト (政策)によって実施されたのではなく、オランダの無宗教的ビジネス提案を幕府が採用した現実的結果だといえる。

13世紀から小規模な干拓が始まっていたが、16世紀後半から17世紀前半のオランダの経済的繁栄と時を同じくして、築堤・風車による排水技術が完成し、アムステルダム周辺の湖沼が干拓されていった。さらに19世紀には、蒸気ポンプが導入されて大規模干拓が進められた。国際的ハブ空港であるアムステルダム郊外のスキポール空港は、19世紀に干拓されたハーレム湖ポルダーの北端部に建設された。なんとスキポールとは「船の墓場(空洞)」(ships' hollow)の意で、かつてはそこが船を呑み込んだ海だったことを示している。

     

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