愛はなぜ終わるのか—結婚・不倫・離婚の自然史 (ヘレン・E・フィッシャー 著, 吉田 利子 訳/草思社)
購入価格:300円
評価:
この記事は約2分55秒で読めます
福沢諭吉の「福翁自伝」を読むと、オランダ語を通じて科学から政治まで、あらゆることを貪るにように学んだ姿が描かれている。
しかし明治になると、蘭語の価値が薄れていき、英語を学び直さなければどうにもならない状況になる(福沢の同期の一人が、蘭語だけでもうたくさん、今さら英語なんか学べるかというくだりは、現代でもよくある、時代の流れに翻弄される人間のリアリティがあって興味深い)。
それはともかく、現代はその延長線上にあるのだろう。我々はオランダを忘れ、米国そして英語一辺倒になってしまった。
それでも現実問題、「酸素」という日本語はオランダ語の直訳だったり、インキやガラスはオランダ語がそのまま日本語として根づいたものだったりで、他にもオランダ由来のものは探せばいくらでもある。
本書を通読すれば、日本にはない、あるいはかつてはあったのかもしれないが今では失われた「本物の智慧」のようなものが垣間見える。たとえ小国でも、いま改めてオランダに学ぶことは少なくないと思う。
日本が隆盛を誇っていた時代、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を著したエズラ・F・ヴォーゲルが日本に講演に来て、「日本人が科学技術で世界を制覇できると思うのはまちがいであります。日本にいちばんないものは何かというと、芸術とデザインです」と言ったという。
出島が築造されたのは1634年だが、いわゆる「鎖国令」とのちに呼ばれる通達は、1633年(寛永10年)から1639年(同16年)までの5回にわたって長崎奉行に付与されている。しかし、ここでは「鎖国」という言葉は使われていない。これらの政策の意図は、(1)キリシタン布教の阻止、(2)ポルトガル船の渡航禁止、(3)日本人の異国渡航禁止だった。 (中略) ここには国を「閉ざす」という感覚や意識はなかった。鎖国は「鎖国」というコンセプト (政策)によって実施されたのではなく、オランダの無宗教的ビジネス提案を幕府が採用した現実的結果だといえる。
13世紀から小規模な干拓が始まっていたが、16世紀後半から17世紀前半のオランダの経済的繁栄と時を同じくして、築堤・風車による排水技術が完成し、アムステルダム周辺の湖沼が干拓されていった。さらに19世紀には、蒸気ポンプが導入されて大規模干拓が進められた。国際的ハブ空港であるアムステルダム郊外のスキポール空港は、19世紀に干拓されたハーレム湖ポルダーの北端部に建設された。なんとスキポールとは「船の墓場(空洞)」(ships' hollow)の意で、かつてはそこが船を呑み込んだ海だったことを示している。
- 前の記事
- 絶後の記録—広島原子爆弾の手記
- 次の記事
- 縄文探検
出版社・編集者の皆様へ──商業出版のパートナーを探しています
*本ブログの連載記事「アメリカでホームレスとアートかハンバーガー」は、商業出版を前提に書き下ろしたものです。現在、出版してくださる出版社様を募集しております。ご興味をお持ちの方は、info@tomonishintaku.com までお気軽にご連絡ください。ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づくノンフィクション的なエッセイを執筆。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。英語の純粋な日記。呆れるほど普通なので、新宅に興味がない人は読む必要なし。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。日々の出来事や、思ったこと感じたことを台本・編集なしで吐露。毎日更新。
関連記事
正しく怖がる感染症
2020/04/04 book-review migrated-from-shintaku.co
2017年の本だが予言的。医学界の常識が現実になったに過ぎないからか。『新型流行 ...
死ぬの大好き
2016/09/25 book-review book, migrated-from-shintaku.co
まずタイトルがいい。相変わらずの山本先生。人間、死ぬのが大好きでありたいものであ ...
世界一わかりやすい やりなおし中学英語
2017/06/08 book-review book, english, migrated-from-shintaku.co
中学英語を完全に叩き込むべく復習も兼ねて読了。猛勉強の甲斐あって、最近は明らかに ...
ルポ解雇―この国でいま起きていること (岩波新書)島本 慈子
2013/10/18 book-review migrated-from-shintaku.co
現代、誰でも時間のことを考えない日はない。たとえひどい二日酔いで一日を溶かしてし ...
英語の歴史―過去から未来への物語
2016/08/03 book-review book, english, migrated-from-shintaku.co
海外レジデンスに赴くべく、英語を鋭意勉強中。 で、急がば回れで、英語とはなんぞや ...




