窮地にいるエンジニアは、ズルい処世術で困難を突破する (佐々木康介/まんがびと)

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「ズルい」という言葉にはギョッとさせられるが、しかし、ズルくない人はこの世にはいない。あの世にならいるかもしれない。とまれ、本書で語られている「ズルさ」とは処世術のことである。

嘘も方便という

人生をいかに生くべきかと言えば、使い古されたこの言葉に尽きるのではなかろうか。たとえば「できない」というのではなく、「これならできます」という代替案を出す。これを方便という。誰も傷つかないし、怒らない。しかしよく考えてみれば、話のすり替え、ごまかしではないか。そんなこと聞いてないと言われたらおしまいである。

今日の晩御飯はハンバーグにはできないけれど、豆腐ステーキならできる。家庭ならそれでよいが、お店だったら客は怒って帰る。

リソースが足りないのに要求ばかりが増えていく「この課題を今月中に対応してくれ」「顧客要望があって、並行して対応して欲しい」「顧客満足度向上のために、もっと品質を上げたい」「全部最優先だ」

全部最優先なんてのたまう人間は、私は無能だと宣言しているようなものである。あなたがの存在する必要がない。事故が起こり怪我人が複数出ている。どう救助を進めるか? 全員優先だ! 助かるものも助からない。

できないことはできない

残業しなければできない仕事は、できない仕事である。この当たり前の原則を、なぜか日本人は無視して、ないがしろにする。人的資源とは、牛丼屋の白米や牛肉のように、限りある資源である。使い切れば追加で仕入れるか、さもなくば店じまいするしかない。なぜ人的資源だけ勝手に増えると思うのか。おまえは魔法使いか。

深刻になるべからず

この世において、本当に重要な仕事というのは1%もない。大銀行の基幹システムが止まったからと言って、死ぬわけではない。それが100%あなたのミスだとしても、せいぜいクビになるだけである。何もかも、たいしたことではない。

近代以降の仕事の99%はなければならない仕事ではなくあったらいいいなのための仕事でしかない。肩の力を抜こう。お上の気まぐれに、クソ真面目に受け答えするのはもうやめよう。適当にあしらって、さっさと帰って酒でも飲もう。

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