内部の人間の犯罪 秋山駿評論集 (秋山駿/講談社)

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あらゆる事柄が単純化され、あるいは曲解される現代ではとても発表できそうにない論理が延々と展開される。

それはどこか金持ちの悪趣味にも似て、一般に醜悪とされているものをこそ愛でるような狂気を感じざるを得ない。

なんて、良識的なことを言いつつ、著者の考え方は嫌いではないし、むしろ好感を覚える。おそらくそれは、私が芸術家の端くれゆえなのかもしれない。

理由なき殺人という生の磁場に興味を抱いたわたしは、その後新聞記事の描く犯罪を見ているうちに、文学の場合とまったく同様に、いろいろなかたちの作品(犯行)があるものだな、と目を打たれるようになった。一つ一つの犯行の個性ということではなく、犯行の作品としてのかたちの違い、といったものだ。

二十歳の頃、チボーデの『ボードレール論』の中で、次の言葉に出遭ったとき、私の感覚は急所を搏たれた。──「都市とは人間の森林である」うまいことを言う。森林は、限りなく奥深く、そして暗い。いわば、影の部分と、迷路の領域とに満ちている。その迷路の領域は、都市の不思議を出現させ、その影の部分こそ、都市の迷路をさまよう人間に、一匹の狼の心情を養うものではあるまいか。

よく生きるためには、未来というものが信じられなければならない。死刑囚の未来とは、やがて確実に予定されている死刑のことか、そんなものは未来ではない。

     

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