影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか (ロバート・B・チャルディーニ (著), 社会行動研究会 (翻訳)/誠信書房)
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いかにも分厚い本であるが、ページをめくるごとに発見の連続で、すらすらと読めしまう。
日常生活にある無数の決断を、ふつう、我々は「自分自身が冷静に考えてそう判断した」と思っているが、それは妄想にも近いものであることを思い知る。
自分の決断に影響を与えているものの正体を学ぶことは、人生それ自体を左右する必須の知識だろうと思う。
みんなが同じように考えているときは、誰も深く考えていないときである。
ウォルター・リップマン
地元チームの勝利の後、ファンはしょっちゅう一群となってテレビカメラの前に殺到し、人差指を高く突きあげて「俺たちはナンバー・ワン! 俺たちはナンバー・ワン!」と叫びます。その叫びは「彼らがナンバー・ワン」というのでも、また「俺たちの(our)チームがナンバー・ワン」というのでもない点に注目してください。使われる代名詞は「俺たちは(we)」であって、これを使うことによって、チームと自分とのつながりをできる限り緊密にしようとしているのです。
人類に広く共有され、しっかりと根付いているこの恩返しの気持ちは、人間社会の進化に非常に大きく貢献してきました。これによって、人は食料や労力、世話といったものを他者へ与えても、それが決して無駄にはならないと確信できるようになったのです。人類の進化の歴史において初めさまざまな資源を形の上では無償で与えたとしても、本当に無償で提供するわけではなくなったのです。その結果、取引という、まず誰かが自分の個人的な資源をほかの人に与えることから始めなければならない行為に対して、誰しも当然抱くであろう心理的抵抗感が減りました。
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