カルト宗教信じてました。 (たもさん/彩図社)

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私自身はカトリックのクリスチャンである。それで、エホバの証人は邪教なのだと、しばしば信仰を同じくする知人や友人から教えられていた。
実際、マトモなキリスト教団体であれば、「当教会は、エホバの証人やモルモン教、統一教会とは一切関係ありません。」などと、わざわざ断り書きされているくらいである。
エホバとは何か?
旧約聖書の中で、神の名はヘブライ語で「YHWH」と表記される。これはヤハウェともヤーウェとも言われるが、そもそも外国語をカタカナで正確に表すのは難しい。
エホバというのも、音の解釈により異なる読み方のひとつである。ただ、この発音自体が間違っているとする主張もある。とまれ、指示している対象は同じで、とにかくは神のことである。
エホバの証人とは1870年代のアメリカで「チャールズ・テイズ・ラッセル」というフリーメイソンのおじさんが始めた宗教です
人生はしばしば心細い
本書は、エホバに入れ込んだ母とその娘(著者)の実話に基づいたストーリーである。著者は幼少期からエホバに疑念をいだいており、35歳になって、ついに脱退する。その短くない年月を振り返って後悔もするのだが、どうして、彼女はとても冷静かつ賢明である。
私は宗教に走る女と不倫に走る女は似ていると思います
どちらも寂しい人で心のスキマを突かれ甘い言葉に乗せられ‥
夫や家族以外に拠り所を見つけてしまうのです
着るものも付き合う人も、その他あらゆる不条理をエホバの名のもとに制限されてきて、ふつう、こういうことは言えない。もっと怒っていい。憤っていい。これは著者の生まれついた性格によるものか、それとも、エホバの証人という宗教が、あるいは反面教師として彼女に何か悟らせるものがあったのか、どうか。
邪教よりも悪いもの
エホバの人と聞くと、我々は、何かもうそれだけで、一段低い人間のように見てしまっていないだろうか。
高校の時に、エホバの証人の信者だと言われていた老齢の先生がいた。私を含め同級生は、それをしばしばからかっていた。「先生、エホバなんでしょ?」とか、その先生はひどいワキガだったから、「エホバって風呂入っちゃダメなの?」なんて、好き放題言っていた。
ある日、ついに堪忍袋の緒が切れた先生は、そうだ、私はエホバだと宣言し、黒板に大きく「エホバ」と書き殴った。「エホバエホバと、気安く口にするもんじゃない!」と怒鳴った。私たちはそれにもまたゲラゲラと笑った。エホバエホバと馬鹿にしてとめどなかった。
今になって思えば、たとえエホバがとんでもない邪教だとしても、いったい最低で最悪なのはどっちだったろうかと考える。
エホバの証人は大学進学やフルタイムでの就職をとても嫌がります
そして社会的地位よりも教団内での地位を重んじ
布教や教団内で働くことを良しとします
エホバは邪教か?
正直、私にはまだわからない。そもそも人様の心底信じているものを、あれはいい、あれは悪いと、勝手に切り捨てる方がどうかしている。だからこそ、私はもっときちんと知りたい。知った上で、自分なりの判断をくだしたい。
すべての人間が善人にも悪人にもなれるのと一緒で、私の信仰するカトリックとて、数の論理で善良な宗教にカテゴライズされているだけで、邪教でない根拠も証拠もない。
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