日本人のための声がよくなる「舌力」のつくり方 声のプロが教える正しい「舌の強化法」 (篠原さなえ/講談社)

書籍日本人のための声がよくなる「舌力」のつくり方 声のプロが教える正しい「舌の強化法」(篠原さなえ/講談社)」の表紙画像

購入価格:707

評価:

この記事は約3分40秒で読めます

先週から、音声で簡単な日記をつけるようになった(拙英語日記 Really Diary参照)。それを毎日聞いていて、気がついた。私は滑舌が悪い。声もはっきりしない。それで少しでも改善したいと思い手にとったのが本書である。

問題は舌か

滑舌とか声質と聞くと、たぶん、ふつうは喉のことを考えると思う。しかし、問題はどうやら舌にある。

舌というものは本来、口を閉じているときは、先端は上の歯の裏あたりにつき、そのまま喉のすぐ近くまで、全体がペタッと上顎についているのが正しい状態です。

近年、舌が上顎につかずに、常に下顎の方にべたっと寝ている状態になっている人が多いという。私は早速ぼうっとしている時に何度か自分の舌の状態を確認してみたが、どうやら問題なさそうだった。とまれ、まずは一度チェックしてみよう。

舌の話だけではない

本書では、舌の話もさることながら、言葉のアクセントや、日本語の発声の特徴や構造にまで踏み込んでいる。それに付随して、舌のトレーニング方法が様々紹介されているのだが、わざわざ本書を購入しなくとも、意識して日に何度か、舌をぐるぐるぐねぐね動かせばそれでよいのではないかと、私は思う。

要は、現代人は歩かなくなったとかいう話と同じである。柔らかいものばかり食べるようになった我々は、舌の動きが絶対的に足りず、舌が弱っているという話だと理解すればよい。

みなさんは子供の頃、友だちの家の前で、 「や~ま~だくん、あ~そびましょぉ」などと言って誘い出したりしませんでしたか?

確認はしていないが、著者の年齢が知れる。もういい歳である私はしていたが、昨今、このようなアポ無し訪問は絶えてなくなったのではなかろうか。

舌よりも人間性

延々と舌のあれこれについて述べた挙げ句、最後は哲学的とも思える話に行き着いた。むしろそこが一番興味深いと思ったのは、私だけだろうか。

動きや音に「揺らぎ」という表現が入ると、感情豊かに感じられるのはなぜでしょうか。それは結局のところ、データ量の多さということではないかと考えられます。

この前、たまたまデータ化の意味について考えていたので、妙に腑に落ちるものがあった。データ化とは、よくも悪くも省略なのである。

データ化で失われる情報

たとえば書類のスキャンひとつ取ってもそうだ。スキャンしてデータ、数字の羅列になれば、完全に情報が保存されたと考える人は多いだろうが、違う。

あくまでも保存されたのは表面の見た目だけであって、紙の重さ、厚み、質感、よれ、しわ、匂い、その他もろもろの情報は、もちろん保存されていない。たった一枚の紙でさえも、仮にそれらすべての情報を記録しようと思えば、ゆうに1TBくらいは超えてくるだろう。

豊かさとは情報量の多さ

むろん、そんな情報は必要ないと言われるかもしれない。しかし、そのような一般に切り捨てられて顧みられない情報こそが、先に引用した「揺らぎ」の本質であって、そこにこそ豊かさが宿るのである。

情報の要・不要を判断するのは誰か

Googleだったか、世界中の書物をスキャンしてデータ化する試みがある。では、もし仮に地球上の全書物をデータ化し終えた暁には、もはや紙の書物がすべて焼き払われたところで、人類にとっては痛くもかゆくもないものだろうか。

そんなわけはないだろう。豊かさ、あるいは人間らしさは、決してデータ化しえないところにこそ、しぶとく、いっそ永遠に存在し続ける。

というか、舌の話から脱線し過ぎて、もはや自分でも何を言っているのかわからなくなってきたので、この辺でお開き。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

奴隷船の世界史

奴隷制と聞くと遠い過去のことのように考えてしまうが、現在も途切れず連綿と続いてい ...

CD付 英語でハッとする聖書の話

かいつまんで紹介されている聖書の下り自体は全て知っていたので、私もまんざらではな ...

女の一生

本書は新聞紙上でよくある読者相談の形式をとっているが、並の回答ではない。ひとつひ ...

セックスと障害者

禁忌的に扱われる彼らの性についての実態と考察。風俗に親が付き添う場合もあるという ...

世界の英語を歩く

日本人にありがちな「目指せネイティブ」ではない、ツールとしての英語のあり方が紹介 ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.