ヒトと文明──狩猟採集民から現代を見る (尾本 恵市/筑摩書房)
購入価格:880円
評価:
この記事は約1分22秒で読めます
人間の生み出すテクノロジーの進歩はすさまじいが、その一方、人類それ自体はアウストラロピテクスの時代(400〜200万年前)から何ら変わっていない、というのはよく言われる話である。
毛皮を捨てた早期人類にとっては、太陽光線中の紫外線から身を守ることが試練となった。その解決法は、紫外線を通さない黒い皮膚をもつことである。皮膚の表面にはメラニン色素を含む細胞が分布するが、その密度が高いほど皮膚は濃色となり、紫外線に対するフィルターとなる。
「なぜヒトには老人がいるのか?」これはヒトの本性の理解にとって重要な疑問である。その説明として、アメリカの人類学者クリスティン・ホークスら(1998)の提唱した「おばあさん仮説」が有名である。世界中の多くの社会で、おばあさん(祖母)が母親の出産や育児を助けることはよく知られている。おばあさんは、自分では子どもを産まないが、自分の娘や親戚のお母さんを助けることによって、生存にとって非常に重要な役割を果たしている。すなわち、おばあさんの存在は、ヒトの集団の「包括適応度」(遺伝子レベルでの成功の尺度)を高めるのに役立つために進化した、という仮説である。
以下はアイヌ初の国会議員(1994年から1998年まで参議院議員)
「北海道で、われわれアイヌは長い間、自然の利子で食べさせてもらっていた。ところが、あるとき和人がやってきて、元本を食い尽くしてしまった」。 これは、現代文明下の環境問題を見事に言い当てている。一九九八年、彼は国会議員任期満了に伴い、惜しまれて政界を引退したが、その時残した言葉は「狩猟民は、足元が暗くなる前に家に帰る」である。真っ暗になっても、なお権力にしがみつく輩に聞かせたい言葉である。
出版社・編集者の皆様へ──商業出版のパートナーを探しています
*本ブログの連載記事「アメリカでホームレスとアートかハンバーガー」は、商業出版を前提に書き下ろしたものです。現在、出版してくださる出版社様を募集しております。ご興味をお持ちの方は、info@tomonishintaku.com までお気軽にご連絡ください。ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づくノンフィクション的なエッセイを執筆。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。英語の純粋な日記。呆れるほど普通なので、新宅に興味がない人は読む必要なし。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。日々の出来事や、思ったこと感じたことを台本・編集なしで吐露。毎日更新。
関連記事
反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体
2016/01/21 book-review book, migrated-from-shintaku.co
今月の読書会の課題本。非常におもしろかった。特にビリーサンデーという人物には、並 ...
脳は空より広いか―「私」という現象を考える
2021/09/08 book-review book, migrated-from-shintaku.co
脳は私で、自意識で、すなわち脳死は自己の決定的な死であるという考えが主流であるが ...
行動分析学入門 ―ヒトの行動の思いがけない理由
2014/04/03 book-review book, migrated-from-shintaku.co
予想以上におもしろかった。心理学科にいまさらながら入学したいくらいである。 【人 ...
ルポ、最底辺、不安定就労と野宿
2012/08/15 book-review migrated-from-shintaku.co
日本国民必読の書。 ホームレスの存在を、いつまでも見てみぬふりはできないと思う。 ...
感染症の世界史
2020/04/01 book-review migrated-from-shintaku.co
リアリティを持って本を読めることの喜びというのもある。1858年にペリー艦隊が長 ...




