宦官(かんがん)―側近政治の構造 (三田村泰助/中央公論社)

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宦官とはぺニスを切除した、つまり去勢された役人である。

なぜにこういう役職というのか、存在が発生したのか、それを著者は絶対に秘密を守るもの、秘書として非人間的な存在を必要とした、という。

性の問題もある。確かに、自分の妻や愛人の世話をさせるのに、ふつうの男よりも去勢されている男のほうが安心には違いない。

ちなみに宦官的な存在は中国を筆頭に世界中に見られるが、日本には存在しなかった。

その理由は「同一血族の間では絶対に去勢は行わないという鉄則があり〜中略〜わが国は古代神話によって知られるように、大和朝廷を中心として、その中に出雲族や隼人族といった異種族が、おなじ系図、すなわち同一氏族として結合されている〜中略〜宦官が存在する要素がなかった」

わかったような、わからないような。とにかくは以下本書よりかいつまんでご紹介。

宦官はパオツという灰色の長い上着と、その上にクワツという暗紺色の短い上っ張りを着、黒地のズボンをはくといった地味な一色の服であった。それに宦官帽をかぶっている。歩くときは、いくぶん前屈みに小股でちょこちょこと歩くので、遠距離からでも一見でそれとわかるほど特徴的である。

中国人がすべてを天の啓示と考えて、婚姻においても杜佑の「通典」が「はじめに一人の男性(帝王)と四人の女性(后妃)とがあった」ということからスタートした〜中略〜戦前のことであるがある日本人が、中国人になぜ一夫一妻制をとらないなとたずねたところ、婚姻制は一セットの茶器と同じで、どこの世界に急須一個に茶碗一個の組み合わせがあるかと逆に反問されたという。

昼あんどんと呼ばれた宰相の瘻師徳が、息子の初任官にあたってその心構えをたずねたところ、息子は、他人が顔に青痰をはきかけたらだまってぬぐいとると答えた。老宰相は嘆息して「お前は見込みがない。ぬぐいとるということがそもそも反抗をしめすものだ。、わしなら自然にかわくまでじっとしておく」と諭したという話である。

以上。

かいつまんだような部分的な話はとてもおもしろく興味深い。ただ全体としてはだるい。しかしぼくとしてはこういう小話をできるかぎり多く頭の中に蓄積したい。

     

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