現代アートを買おう! (宮津 大輔/集英社)

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狭いアート界では超がつくほど有名なサラリーマンコレクター宮津さんのご本。公募展の審査員などもやっていらっしゃる。来年のワンダーシードでの審査員でもある。

頭がポマードでてっかてかの油ギッシュな成金風のおっさんだという認識しかなかったのだが、この本を読んでかなり見方が変わった。実際、400万とか500万とか、そんな普通の年収だったのかとびっくりした。少なくとも1000万くらいはあるものと漠然と思ってました。だからというわけではないが、文体にも内容にも嫌味がなく、ただただアートに魅せられ、愛しているんだろうなあというのが素直に伝わってくる。

著名コレクターであることを誇るわけでもなく、ごくごく一般的感覚と目線で、ガーデニングをすすめるがごとく、アートは楽しいんですよ、みなさんも現代アート買ってみましょうよと語りかけている。

それはともかく、この本で知って一番驚いたのは、個人所蔵の作品を美術館などへ貸し出す際の謝礼である。ぼくは少なくとも数万〜数十万、場合によって数百万ではないかと思っていた。

しかし実は、日本の美術館でもせいぜい数千円であり、海外の美術館にいたっては有名なところでも基本的に"謝礼なし"だそうである。

そういうもんなのかあ。ベーコンの個人所蔵作品を借りるとか、超たけーんだろうなとか思ってたのに、がっかりというわけではないがアートの世界の仕組みって不思議というかよくわからんなと思う。

だって、たとえばあなたがランボルギーニだとかフェラーリだとかを持っていたとして、展示したいので貸してくださいと言われて、どこのだれが"タダで"貸してくれるというのだろう。

宮津さん曰く「アートは次世代に引き継いでいくべき公共の財産」と言っているが、きれいごとではなく、ほんとうにそういうものなのかもしれない。

月面さえも売買するような所有欲に凝り固まった現代にあって、アートとはまったくもって稀有な純粋な領域なのかもしれない。

     

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