ドイツ語のすすめ (藤田 五郎/講談社)

書籍ドイツ語のすすめ(藤田 五郎/講談社)」の表紙画像

購入価格:307

評価:

この記事は約2分52秒で読めます

何かの本で、何十ヶ国語を操る方が「すべての言語は擬態語である」と言っていたのを思い出す。

確かに、その言葉の意味はわからなくとも、すべての言語はそのものにふさわしい字面や音を持っているものだ。

たとえば日本語の「殺す」も英語の「kill」も、そしてドイツ語の「toeten(テーテン/殺す)」も、そこはかとないおだやかならぬ印象がある。

それはともかく本書は昭和39年発行と、あまりにも古い。それで以下のようなくだりが出てきてハテナとなる(下線は筆者)。

『一つてまえの駅で降りてNHKの「私と語学講座」に出た山崎ミドリさんは、一時オランダ系の会社に勤めていたBGです。』

調べてみれば「ビジネスガール」の略らしいが、売春婦の意味にもとられることから放送禁止用語となったらしい。
参照: https://ja.wikipedia.org/wiki/OL

母音のあとの子音が一つだけなら、その母音を長くしなさい。
母音のあとの子音が二つ以上なら、その母音を短くしなさい。
山へ行くと、ヒュッテというのがよくあるでしょう。あれは、Hütte というつづりのドイツ語なんです。「ヒューッテ」とならない点に注意してください。u のつぎに二つ子音があるからです。英語ならば hut にあたります。ところが英語と同じつづりで Hut となると、「フート」と発音して、「帽子」のことです。英語の hat ですね。小屋ではなくて帽子なんですから、思わずハッとします。「フット」でなくて「フート」と伸びるわけはもうおわかりでしょう。u のつぎに、子音が一つしかないからです。

ギリシア語のような古いことばには、単数と複数のほかに、双数というものがありました。たとえば目や耳や、手足などは二つずつそろっているので、特別扱いにしたのです。ドイツ語には単数と複数しかありません。

ドイツでトイレにでかけますと、ドアに DAMEN (ダーメン)とか、HERREN (ヘレン) (中略) die Herren (ディー ヘレン)は der Herr (ディー ヘア)(紳士)の複数です。なかには、ER(かれ)、Sie (彼女)、などと気どって書いているものもあります。イタリアのカプリ島では、アダムとイヴという、ひどく文学的なのも見ました。ドイツにはまた、ゼロ号室 Nummer Null (ヌンマー ヌル)というのもあります。ゼロ = ゼロ (00)のように、重ねて書いてあることもあります。

     

ブログ一覧

  関連記事

ホームレスが流した涙

彼は日本のホームレス研究というかルポライターの第一人者らしい。日本のホームレスで ...

菊と刀

十年くらい前に一度読んだことがあるが、その時はそこまで面白いとは思えなかった。し ...

お金に「正しさ」はあるのか

これまた興味深い本。お金の話が出てくる小説として、海辺のカフカがかなり引用されて ...

英語表現のトレーニング―ポライト・イングリッシュのすすめ

漠然と英語に敬語はないと思っていた己の愚かさを痛感させられた良書。英語にもある豊 ...

スターリン - 「非道の独裁者」の実像

社会主義について知りたくて手に取ったが、タイトル通りスターリンその人の実像に迫る ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2025 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.