たべもの文明考 (大塚滋/朝日新聞社)

書籍たべもの文明考(大塚滋/朝日新聞社)」の表紙画像

購入価格: 不明

評価:

この記事は約1分2秒で読めます

ほんっとすばらしい本。

ぼくが愛するのはこういう本だという代表のような内容で、とっつきやすく、かつ深い。

九里よりうまい十三里が正しくは十三里半だろうとか、牛や馬など、四つ足の家畜を食べる習慣がなかった明治の初期には、肉をとったあとの家畜を土に埋めてお経をあげていたとか、田舎のおばあちゃんなんか「仏様を汚してはいけない」と、仏壇に目張りまで、したそうである。

チョコレートが日本に入ってきた当時は「あれは泥を固めたものではないか?」などと言われていたり、そもそも砂糖は有史以来、長いあいだとんでもない貴重品であり、清少納言でさえ食べたことはなかった、などなど。

しかし豆知識だけに終わらない。

1978年に初版発行の古い本なのだが、「有史以来、はじめて日本人のすべてが米を食べている」といい、食が「単に生きるため」から「楽しむため」に変わってきていることを指摘している。

とりあえず、人間はいままでもこれからも、種々雑多のものを食べて生きていくのだが、その先にはいったいなにがあるのかと、高度経済成長の真っ只中で、浮かれ気分でしかない世の中の空気の中で、食を通してやさしく、かつ重大な問題提起を与えているこの著者には、心からの敬意を表したい。

あんたは偉い!今も生きてるかどうか知らんけども。

前の記事
ニセ札つかいの手記
次の記事
靖国神社

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  関連記事

日本残酷物語4

ハワイ移民について調べていた流れから読んでみたが、看板に偽りなしの「残酷物語」。 ...

レーガノミックス―供給経済学の実験

アメリカにおけるホームレスの夥しさの原因を求める中で、レーガノミクスにたどり着い ...

令和元年のテロリズム

読者の単なる興味本位を超えて、犯罪・テロという切り口から、現代の状況を浮かび上が ...

戦火と混迷の日々―悲劇のインドシナ

ベトナムについて「世界広しといえども、これほどえげつない形をした国土もない」とい ...