宗教と現代がわかる本2007 (渡邊 直樹 (編集)/平凡社)

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この世で一生懸命論じられている何もかもが、「いま現在はとりあえずそのように信じられている」という仮説でしかないことを知ると、非常に楽な気持ちになる。

だって、「絶対」って疲れるから。そしてしばしば攻撃的になってしまうものだから。

それもあるね、そうかもしれないね、ひょっとしたらそういうこともあり得るよねと。そういう寛容さこそ、現代人が身につけるべき態度ではなかろうか。

1610年の4月のこと。ガリレオは、イタリアのボローニャに24人もの大学教授を集めて、自作の望遠鏡を披露しました。 (中略) ガリレオは、まず彼らに望遠鏡で地上の様子をみてもらいました。 (中略) 望遠鏡を覗きこむと、山や森や建築物など、はるか遠くにあるものがドーンと目のまえに映しだされます。「これはすごい!」と教授たちはその迫力に驚き、ガリレオを称賛しました。 (中略) つぎに、ガリレオは教授たちに望遠鏡で天体をみせたのです。すると、どうでしょう。それまではボンヤリとした光る点にすぎなかった夜空の星々が拡大され、月のクレーターまでもがはっきりとみえたのです。教授たちはまたしても驚きました。そして、口々にこういったのです。
「こんなのはデタラメだ!」
教授たちのなかには、当代きっての天文学者ケプラーの弟子、ホーキーもいました。彼はつぎのように語っています。
「それ(望遠鏡)は、下界においては見事に働くが、天上にあってはわれわれを、欺く」
つまり、ガリレオの望遠鏡は地上をみる分には問題なく作動するが、天に向けるとうまく働かない代物だ、と文句をつけているのです。

反証可能性――つまり、反証ができるかどうかということです。これをいいだしたのは、カール・ポパー(1902-94年)という人です。20世紀の科学哲学者の代表みたいな人ですね。有名な『科学的発見の論理』という本のなかで、ポパーは「科学」を定義しました。それは、「科学は、常に反証できるものである」というものです。 (中略) もしその理論がうまくいかないというような事例が一回でもでてしまえば、つまり反証されれば、その理論はダメになってしまうということです。

複数主義ともいいますが、ようは、全体を統一する絶対的な唯一の仮説がないという意味で、仮説と仮説が常に共存しているのです。どっちが正しいかではなく、両方とも正しいというのが、相対性理論の根っこの考え方なんです。絶対的基準がなくて、状況に応じた相対的基準しか存在しないのです。

     

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