サルが人間になるにあたっての労働の役割—原典解説 マルクス=レーニン主義入門叢書 (伊藤 嘉昭/青木書店)

購入価格: 不明
評価:
この記事は約2分20秒で読めます
パチンコは公然とした法の抜け穴どころか、官民一体になった犯罪である、というのが本書の主旨である。
本書を読めば(あるいは読まなくても)、それはまったく同意せざるを得ない事実なのであるが、パチンコ店というものがあまりにも日常に浸透し過ぎているせいか、改めてその暗部に対して糾弾しようとする者がいない。
それは一重に、正義云々よりも、それが是正されたとて「誰も得をしない」からであろう。
現在のパチンコは完全なギャンブルである。パチンコをプレイする者の95パーセント以上は実際に換金しているのである。誰もパチンコ玉で美しいボールペンや文鎮がもらえて、外に行ったら偶然その景品を買い取ってくれる店があった、などと信じてはいまい。あまり法を馬鹿にするものではない。卸問屋を通して三店にしたから合法、などという論理がまかり通る世の中は不健全である。筆者は一応刑法学会にも所属する者であるが、今のパチンコはまず常習賭博罪(刑法一八六条)に相当すると考える。
根底にはまだギャンブルおよびその儀式的なプロセスを楽しむ、という思想がないせいであろう。現代の欧米社会においては、カジノなどのギャンブルは娯楽を享受することであって、(必然的に)負ける金額は、映画やステージショウに払う対価のように、「楽しみ代」として支払うお金である、という考え方が主流となりつつある。ところが日本人はいまだ「一発当てる」とか「金を儲ける」ためにギャンブルをする人がほとんどで、そのもとになっているのは、「やりようによってはオレは勝てるはずだ。勝たねばならぬ。勝ってみせる」などといった根拠のない確信にすぎない。
大阪大学の古川岳志がおもしろい観点を紹介している。スポーツが真にフェアなゲームになるための一番の近道は、公営「ギャンブル」の対象にすることである、という意見である(古川岳志「公営ギャンブル競輪の『スポーツ』化」1997年)。古川は競輪というスポーツを例にとって、公営ギャンブル化したことによって厳格な公正さと公平さとが要求され、抜け道が存在しないように改善されてきたことを紹介している。考えてみれば、ラスヴェガスにおいてのルーレットやスロットマシンの不正を心配する人は、(よく知っている人ならば)いないと思うが、同じ安心感を日本のカジノバーやパチスロ店に持つことはできない。それは前者が厳格な法の監視と罰則の施行を受けていることを知っているからであり、後者は金を賭ける「ギャンブル」とさえみなされていないことを知っているからである。アメリカではプロ野球はおろか、カレッジやハイスクールのスポーツ(フットボールバスケットボールなどなど)に対する賭けもなされている。それがゆえにプレイヤーやコーチたちに対するモラルは厳格で、ほんの少しの情報を漏らしたり、会ってはならない人と話をしただけで、追放された選手や、対外試合が禁止された大学などは、枚挙にいとまがない。
- 前の記事
- 働かないアリに意義がある
- 次の記事
- 28歳からのぶっつけ留学成功法
出版社・編集者の皆様へ──商業出版のパートナーを探しています
*本ブログの連載記事「アメリカでホームレスとアートかハンバーガー」は、商業出版を前提に書き下ろしたものです。現在、出版してくださる出版社様を募集しております。ご興味をお持ちの方は、info@tomonishintaku.com までお気軽にご連絡ください。ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づくノンフィクション的なエッセイを執筆。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。英語の純粋な日記。呆れるほど普通なので、新宅に興味がない人は読む必要なし。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。日々の出来事や、思ったこと感じたことを台本・編集なしで吐露。毎日更新。
関連記事
サバイバル英文法 「読み解く力」を呼び覚ます
2018/03/20 book-review book, english, migrated-from-shintaku.co
なるほどという指摘がいくつかあり、また時間を置いて読み返したい感じ。
オランダ風説書―「鎖国」日本に語られた「世界」
2021/08/19 book-review book, migrated-from-shintaku.co
私を含め多くの日本人は、鎖国には外国排除、外国人許すまじというような強いイメージ ...
35歳までに必ずやるべきこと
2018/04/24 book-review book, migrated-from-shintaku.co
例によってシェアメイトにもらった本。読んでると無性にイラッとくる箇所がままあるで ...
一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法
2018/03/10 book-review book, english, migrated-from-shintaku.co
毎朝少しずつ読み、ほとんど一年かかったような気がする。要所要所で著者の変にくだけ ...