この世でいちばん大事な「カネ」の話 (西原 理恵子/KADOKAWA)

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著者については、アル中だった旦那との顛末がドラマ仕立てにされたものを、いつかどこかで見た以上のことは知らない。

内容はさておき、私にはとても書けない、くだけた口調で語りかける文体は、賛否が分かれるところかもしれない。

金を稼いで、それから?

現代人のほとんどは多かれ少なかれ金の亡者である。とにかく金を欲しがって、しかしどうして、それを得たあとの具体的なビジョンがないのがまた滑稽だ。

人って気候がよくて、食べる物に困らなければ、お金なんかそんなになくたってカリカリしないで暮らしていけるものなのよ。貧富の差がなかったから、いわゆる「貧乏人」がいなかった。町中みんなが貧乏だと、だあれも自分が貧乏だってことに気がつかないのかもね。

その通りだろう。しかし近年、特にSNSによって何もかも可視化され、何につけても世界のトップと比較されれば、打ちのめされて卑屈になって当然だろう。

思うに、比較から生まれる嫉妬は、この世でもっとも発狂に近いところにある感情ではないか。

負ける作法

私はいさぎよくない人間だった。幼かったことを差し引いても、非難されても仕方がないものがあった。

たとえば小学生の頃、他愛ないことで500円ほどの賭けをしたことがある。

しかしいざ負けると、黙って500円を差し出すのが悔しくなって、これしかなかったと、わざと500枚の1円玉を持って馳せ参じて皆に数えさせ、顰蹙を買っているにも関わらず自分はほくそ笑んで平気なのであった。

ギャンブルって無法地帯のようで、実はちゃんと、最低限のマナーがあった。わたしが師匠に教わったのは、まず「負けてもちゃんと笑っていること」。 (中略) ギャンブルなんて負けてあたりまえなんだから、「損した」「損した」って騒ぐくらいなら、最初からやるなよって話なのよ。

今はだいぶマシになったとは思うが、三つ子の魂百までともいう。だいたい性根は腐っている。

ジェンダーの彼岸へ

男女平等、いわゆるジェンダーギャップの是正が叫ばれるようになって久しい。今では企業幹部の男女比が志望動機にさえなる。

「女の子なんだから、おごられて当然よね」っていう文化があるよね。わたしは、あれもどうかと思ってる。その根拠は、何? 「わたしみたいなカワイイ子が一緒にご飯を食べてあげるんだから、払ってもらうの、当然よね」? どんな理屈をくっつけようと、お金をタダで出してもらうことが習慣化しているというのは、おそろしい、よくないことだと思うよ。

平等であるならば、対等であろうとするならば、このあたりの地味にこびりついて取れない文化も根こそぎ取り除いてもらいたいというか、取り除かれてしかるべきだと、私は思う。

むろん私も男性の側として、女性の権利と人権を最大限擁護するという前提での話ではあるが。

     

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