昭和青春読書私史 (安田 武/岩波書店)
購入価格: 不明
評価:
この記事は約3分33秒で読めます
ダイエットコーラが好きだ。カロリーがゼロだから。普通のコーラは怖くて飲めない。なぜならカロリーも糖分も山ほど入っているから。ダイエットコーラなら安心だ。糖分もカロリーもゼロだから。
人間が決めたゼロの定義
そもそもカロリーゼロとは「100g当たり5kcal未満(飲料の場合は100mL当たり5kcal未満)であること」であって、完全にゼロというわけではない。
参考: ゼロカロリーとカロリーオフの違いとは? ― 栄養成分表示の正しい見方
つまり、しょせんは人間の作った単なるモノサシであって、そんな曖昧で頼りないものに振り回されること自体、愚かなのかもしれない。
ハーバード大学の研究者たちが、3000人以上の女性を11年間追跡調査した結果、人工甘味料使用のソーダを1日2缶以上飲んでいた人は、飲んでいなかった人に比べて、腎臓の機能が30%も低下していたことが判明しました。カロリーありの糖類使用のソーダを1日2缶以上飲んでいた人には、腎臓の機能の低下は認められなかったのに、です。
感覚を忘れた人々
現代人の特徴のひとつとして、行き過ぎた数字信仰がある。生活、恋愛、仕事、そして食まで、ありとあらゆるものを数字で測り、それで本質をつかんだような気になっている。
確実に言えそうなのは、カロリーゼロの人工甘味料を摂ると、体重のコントロールが難しくなることです。かえって空腹感を増やして食べ過ぎたり、甘み中毒になって、結局肥満になることが分かっています。
かつては私もその数字狂信者のひとりであったが、最近は自分の率直な感覚をこそもっと信じるようになった。
極端なことを言えば、カップラーメンを食べたいと思う。そして食べておいしいと感じる。一般的に健康的でないと考えられる食べ物であっても、それが食べたくて美味しく感じられるのであれば、それは身体が求めているということであって、短期的・単眼的な身体に良い悪いを超えた、真に必要な栄養素が得られるのではないだろうか。
ひとつ言えるのは、何かを食べて罪悪感を覚えるなんていうのは心身にとって最悪だ。どうせジャンクフードを食べるなら、本気で食べて心から楽しむべきだ。
視野狭窄の時代
これまた現代人の特徴として、待つことができないというのがある。とにかくせっかちで、今すぐ欲しく、今すぐ効果が出ないと気が済まない。
安全性は、3世代≒100年程度の影響をみないと分かりません。 (中略) 親が摂取したことによって子どもの生殖器官を傷めた可能性があるか否か、孫世代をみないと分からないためです。人工甘味料は今の40代が2世代目で、ようやく3世代目に入ったところではないでしょうか。安全性が担保されているとは言い切れません
この世で本当に即効性のあるものなど、せいぜい浣腸くらいのものだろう。この世の一切は、とにかく時間がかかる。むしろ忘れた頃に効果が現れることばかりである。
思うに、人工甘味料というのは人間にとって裏口入学のようなショートカットとしてあって、その時はいいかもしれないが、遠からず辻褄が合わなくなって、結局は重いツケを払うことになるのではないか、というのが現時点での私の考えである。
- 前の記事
- 日本売春史―遊行女婦からソープランドまで
- 次の記事
- 貧困の克服 ―アジア発展の鍵は何か
ご支援のお願い
もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。
Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com
ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。
-
読書記録
2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。
関連記事
一寸法師・さるかに合戦・浦島太郎
2015/06/03 book-review book, migrated-from-shintaku.co, no_comment
2020-07-24 追記 この頃、私は昔話を読むことに価値を見出して、ハマって ...
英語の語源の話 - 楽しみながらボキャブラリーが増える
2018/02/16 book-review book, english, migrated-from-shintaku.co
英語のウンチク本は地味に知識の定着がよいのでオススメ。一冊読んで一単語でも覚えら ...
遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実 (私たちはどのように騙されてきたのか?)
2017/11/15 book-review book, migrated-from-shintaku.co
重厚な本。今まで組み換えくらい少々いいじゃん位の知識しかなかったのだが、これを読 ...
裏切られた発展―進歩の終わりと未来への共進化ビジョン
2021/09/23 book-review book, migrated-from-shintaku.co
原始の時代を考えれば、確かに人間は神様でもにわかには信じがたい発展を遂げてきた。 ...
うちの子が、なぜ!―女子高生コンクリート詰め殺人事件
2013/12/17 book-review migrated-from-shintaku.co
まず、鴻上尚史は偉い。難しいことを易しく説明できる、本当の頭の良さを持っている。 ...