貧困の克服 ―アジア発展の鍵は何か ( アマルティア・セン (著), 大石 りら (翻訳)/集英社)

書籍貧困の克服 ―アジア発展の鍵は何か( アマルティア・セン (著), 大石 りら (翻訳)/集英社)」の表紙画像

購入価格: 不明

評価:

この記事は約3分32秒で読めます

まず、声を大にして言いたい。本書は「ジュニア新書」となっているが、まったくもってジュニアレベルではない。シニアレベル以外のなにものでもなく、中学英語レベルを期待して手に取ると痛い目に合う。

トランプは浮浪者?

英語は数ある世界の言語の中でも桁違いに単語数が多く、100万語以上の単語があり、さらに毎年数千語ずつ増加しているという。
参考: 英語の謎に迫る!英単語は一体いくつ存在するのか?

以下はClarence Day/クラランス・デイ(1874-1935)というアメリカのユーモア作家の文章だが、その中に出てくるTrampという単語の意味にはギョッとさせられる。

I wanted to be a cowboy, I told Father on the way home. He chuckled and said no, I didnt. He said I might as well be a tramp.

大意は、カウボーイになりたいと父に言うと、それなら浮浪者になる方がマシだというのである。

もっとも、ここでのTramp(浮浪者)と、いま話題の米大統領Donald Trumpとはつづりが異なる。ただ、日本人にとってはどちらもトランプで区別がつかず、悪い冗談かと思ってしまう。

英語のニュアンスを知らない

2016年、私はシンガポールに海外転職することになったことをきっかけに本気で英語の勉強を始めた。その後アメリカのロサンゼルスにも1年半ほど暮らしたが、もっとも英語力アップに効果があったと思うのは、正直なところ、オンライン英会話である。

compliment は「褒め言葉」で flattery は「お世辞」と覚えておけば,90%の場合正しいと思う.

いつだったか、私が女性を褒めると「You flatter me」と返されたことがある。そういう実体験は記憶の定着率も最高だが、日々こつこつと、市販の文法書を読み、オンライン英会話を続けるだけでも、外国人に話しかけられても困らないレベルには到達できると思う。

ちなみに本当に英語が苦手な初心者におすすめしたいのは、『新装版 英文法のトリセツ じっくり基礎編』である。私はTOEIC300点という底辺から出発したが、そんな私でも挫折せずに読むことができ、その後の道標になった。

それでも知識がものを言う

日本人は英語を書けるがしゃべれないという。どちらもまったくできなかった私は、あるいは日本人ではないのかもしれない。しかしポケモン集めよろしく、本書にあるような豆知識を地道に集めることで得られるものは多い。

girl という語は注意して欲しい.コンテクストを無視して機械的に「少女」と訳す日本人は無数にいるからね.やや誇張していえば,「少女」に相当する英語は,little girl であって,girl ではない.girl は大人である若い女性を指す場合が圧倒的に多い

繰り返しになるが、本書で紹介されている英文はどれもこれも難解で、解説を読まずに理解できるという人は、そもそもすでに十分な英語力をお持ちなので、他のことでも勉強した方がいいのではないだろうか、というくらいレベルが高い。とにかくは絶対にジュニアではない。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

脳は空より広いか―「私」という現象を考える

脳は私で、自意識で、すなわち脳死は自己の決定的な死であるという考えが主流であるが ...

無責任の新体系 ──きみはウーティスと言わねばならない

作品の文脈を高めず、ただ中身(表面)を味わうのが大衆の楽しみ方。これを「低文脈的 ...

パンツが見える。—羞恥心の現代史

占いの延長線上にあるようなスピリチュアルの本と言えばそれまでだが、もっと深い部分 ...

モンスター 尼崎連続殺人事件の真実

期待ほどではなかった。定期的に猟奇事件ものを読んでしまうが、私にとってこの手の本 ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.