脱出老人 フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち (水谷竹秀/小学館)
購入価格:397円
評価:
この記事は約1分20秒で読めます
下手な幸福論より、よほど人間の幸・不幸のなんたるかについて考えさせられるものがある。
結局、どこに行こうが――たとえ国内の地方の田舎でも――満足できるかどうか、幸福といえるかどうかは、自分の性格や寛容さにかかっている。決してフィリピン移住が特別なことではなく、単なるひとつの選択肢なのだと思う。
2014年、約千人を対象に実施した結婚意識調査によると、50歳以上の男性が結婚したい理由に「寂しさから解放されたい」「老後の安心を得たい」が2〜3割を占め、50歳以下の年代に比べてその割合が格段に高かった。つまり、一人で過ごす老後の生活に対する不安の表れである。2010年の国勢調査を再び引用するが、65歳以上の一人暮らしは約479万人で、05年の前回調査から百万人近く増えた。
重傷を負ったり、大病を患ったりすることもあるかもしれません。途上国に住む、ということは、そのような時にもこの国の医療環境を含めて現実を受け止めるということです。私はそれがこの国に対する最低限の敬意だと思います。調子が良い時は利用して調子が悪くなったら帰国します、というのはこの国に対して大変失礼ではないでしょうか
国民の大半がカトリック教徒という宗教観に基づけば、この災害は「神様が決めたこと」としてその天命を受け入れ、それによるある種の諦めの心が働いている可能性もある。つまりは、「運命だから仕方がない」という感覚だ。日本人であれば、そんな大災害が起きた時に運命論など持ち出さない。なぜそうなってしまったのか原因を突き止め、責任の所在を明らかにすることに全力を尽くす。この両者の考え方の違いが、喪に服しているように見えるか否かにつながっているのではないだろうか。
- 前の記事
- ニュー・アース
- 次の記事
- 脳は空より広いか―「私」という現象を考える
ご支援のお願い
もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。
Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com
ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。
-
読書記録
2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。
関連記事
古事記 (SAN-EI MOOK マンガでわかるシリーズ Vol. 2)
2017/05/27 book-review book, migrated-from-shintaku.co, no_comment
ポストコロニアリズム
2013/10/18 book-review migrated-from-shintaku.co
奴隷制と聞くと遠い過去のことのように考えてしまうが、現在も途切れず連綿と続いてい ...
自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う
2014/04/26 book-review migrated-from-shintaku.co
読書会の課題図書なので読んだ。社会とか公共について興味が薄いぼくなので、あーそー ...
歯はみがいてはいけない
2020/03/02 book-review migrated-from-shintaku.co
歯も老化し歯抜けのクソ親父になると思っていたが、それは日本特有の誤った歯磨きによ ...