脳は空より広いか―「私」という現象を考える (ジェラルド M. エーデルマン (著), 冬樹 純子 (著), 豊嶋 良一 (著), 小山 毅 (著), 高畑 圭輔 (著)/草思社)
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脳は私で、自意識で、すなわち脳死は自己の決定的な死であるという考えが主流であるが、それは案外にあまりにも単純な考えなのかもしれない。
もっと、意識は脳という局所的なところにだけあるのではなく、腕や足など身体のそこここに、あるいはこの世界全体に散らばって偏在しているのではないか。
などと言ってみたが、本書は期待していた内容の数百倍は小難しく科学的で、あまり面白くなかったというのが正直なところ。
獣の意識というのは単にその獣の身体の働きの副産物にすぎず、その身体の働きを調節したり変えたりする能力は一切備えていないと考えられる。それはちょうど蒸気機関車の鳴らす汽笛が、その機関車の動きに何の影響も与えないのと同じである。もし獣に意志と呼べるようなものがあるとすれば、それは生理的変化の指標となる情動にすぎず、そのような変化の原因ではない……私の判断では、獣に適用できる論法は人にも当てはまる。したがって、われわれ人の意識はすべて、獣がそうであるように、脳内物質の分子変化によって直接引き起こされた状態である。
こういう課題をこなしている時は、脳のこの部位とこの部位の活動が活発になる」と画像で見ることはできる。しかし、それらの部位の活動が活発になることと、行動が現れることとをイコールで結ぶような純な解釈はできない。必要であるということと、十分であることとは違う。全体論でも局在論でも説得力のある説明はできない。つまるところ、「脳の分業」と「脳の統合」という両面からの理解が不可欠なのだ。
ヘラクレイトス的幻想 (Heraclitean illusion)
時間の点が過去から現在、そして未来へとスムーズに流れていくという考え方。これは幻想である。体験に直接アクセス可能なのは現在だけであり、過去と未来は概念でしかない。
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