脳は空より広いか―「私」という現象を考える (ジェラルド M. エーデルマン (著), 冬樹 純子 (著), 豊嶋 良一 (著), 小山 毅 (著), 高畑 圭輔 (著)/草思社)

書籍脳は空より広いか―「私」という現象を考える(ジェラルド M. エーデルマン (著), 冬樹 純子 (著), 豊嶋 良一 (著), 小山 毅 (著), 高畑 圭輔 (著)/草思社)」の表紙画像

購入価格:913

評価:

この記事は約1分26秒で読めます

脳は私で、自意識で、すなわち脳死は自己の決定的な死であるという考えが主流であるが、それは案外にあまりにも単純な考えなのかもしれない。

もっと、意識は脳という局所的なところにだけあるのではなく、腕や足など身体のそこここに、あるいはこの世界全体に散らばって偏在しているのではないか。

などと言ってみたが、本書は期待していた内容の数百倍は小難しく科学的で、あまり面白くなかったというのが正直なところ。

獣の意識というのは単にその獣の身体の働きの副産物にすぎず、その身体の働きを調節したり変えたりする能力は一切備えていないと考えられる。それはちょうど蒸気機関車の鳴らす汽笛が、その機関車の動きに何の影響も与えないのと同じである。もし獣に意志と呼べるようなものがあるとすれば、それは生理的変化の指標となる情動にすぎず、そのような変化の原因ではない……私の判断では、獣に適用できる論法は人にも当てはまる。したがって、われわれ人の意識はすべて、獣がそうであるように、脳内物質の分子変化によって直接引き起こされた状態である。

こういう課題をこなしている時は、脳のこの部位とこの部位の活動が活発になる」と画像で見ることはできる。しかし、それらの部位の活動が活発になることと、行動が現れることとをイコールで結ぶような純な解釈はできない。必要であるということと、十分であることとは違う。全体論でも局在論でも説得力のある説明はできない。つまるところ、「脳の分業」と「脳の統合」という両面からの理解が不可欠なのだ。

ヘラクレイトス的幻想 (Heraclitean illusion)
時間の点が過去から現在、そして未来へとスムーズに流れていくという考え方。これは幻想である。体験に直接アクセス可能なのは現在だけであり、過去と未来は概念でしかない。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

バガヴァッド・ギーター

インド人曰く、ギータを読むといい人になるらしい。当たり前なのかもしれないが、全体 ...

バッタを倒しにアフリカへ

まさに今、知る人ぞ知るサバクトビバッタ大発生を阻止すべくアフリカへ向った若き研究 ...

あなたのアクセスはいつも誰かに見られている

賃労働の一助とすべく読んだ。まあ、興味深かったが、心からの興味関心ではなく、いわ ...

「世間」とは何か (講談社現代新書): 阿部 謹也: 本

多くの人にとって、写真と言えば友人や家族を写したポートレートであろう。つまり日常 ...

上級国民/下級国民

言うまでもなく身分制度はすでに無いはずだが、しかし、人々のうらみつらみ、ねたみの ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.