日本の「私」からの手紙 (大江健三郎/岩波書店)
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講談社の「○○語のすすめ」シリーズをさまざま読み漁っているのだが、入門の入門としては悪くない。
おそらくほとんどの日本人は英語しか学んだことがないと思われるが、それ以外の外国語にほんの少しでも触れておくのは無駄ではない。
言語を通通じてものの見方が広がるし、比較文化的な発見も少なくないと思う。以下の引用部分など、カッパがケープになって、また現在カッパの方が多用されているというのは興味深い。
ケープは、スペイン語ではcapaです。日本語にはいってカッパ(合羽)となりましたが、いまはあまり使われず、古くさい外来語となりました。カッパに代わって、英語のケープが使われています。いくつかの例でお話ししたように、むかし日本語になったスペイン語やポルトガル語は、もう古くさくなってしまいましたが、あらためて、今後スペイン語がどんどん日本語の中にはいってくるようになるかもしれません。
初対面のあいさつに、「ムチョ=グスト」といいながら握手できれば、スペイン語の第一歩を踏み出したことになります。この Mucho gusto. は日本語のつもりで読んでも、ムチョ=グストとしか読めないでしょう。 ch は「チャ・チ・チュ・チェ・チョ」の音を表わし、u はいつも「ウ」なのですから、日本語をローマ字(ヘボン式)で書くときと、文字の使い方が同じです。英語のように、u が「ユ」になったり、「ア」になったりはしないのです。わたしたちにとって都合のいいことに、スペイン語の母音はア・イ・ウ・エ・オ (a・i・u・e・o) の五つしかありません。すぐお気づきのように日本語の場合と同じです。
ロスアンジェルスもラスベガスも複数形
(中略) おのおの頭の部分のロスとラスは冠詞です。前に覚えた el と la の複数形、それが los と las です。Los Angeles をスペイン語として発音すればロサンヘレスとなります。傍線のところにアクセントがかかります。Las Vegas の ve の発音は〈ベ〉でよく、英語の〈ve〉のように下くちびるを上歯がかむようにする必要はありません。ángel は男性名詞で、意味はもちろん「エンジェル」、vega は女性名詞で、「沃野(よくや)」の意味です。
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