巻頭随筆 (4) (文藝春秋編/文春文庫)
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俳優、作家、画家など、各界の著名人のエッセイが詰まった本。
個人的には彫刻家の舟越保武のエッセイを興味深く読んだ。今では息子の舟越桂のほうがよほど有名ではあるが。
なぜかというと、高校生のとき、テレビで舟越保武の制作風景を見たのである。なんという番組だったかは忘れたが、舟越保武は足を悪くしていて、車椅子で塑像のための粘土をひっつけたり、取ったりしていたのを覚えている。
まあ、このエッセイ自体はお世辞にもうまいとも面白いとも思えなかったが。
それはともかく、全体を通して興味深い話が多く、かつ、面白おかしく読める本ではあるので、万人におすすめしたい。
以下、ちょっとおもしろかった部分を抜粋。
【水木しげる「妖怪さま」より】
妖怪を感ずるか、感じないかは、もって生まれた"妖怪感度"ともいうべきものによる思うのだが、感度の高い人低い人とがあるような気がする。ぼくが妖怪とつきあうようになったのは、四・五歳のころからだと思うが、今から考えると、妖怪とつきあうというよりも、むしろ妖怪に愛された、という感じで、知らない間に幼少の頃から、かなり深入りしていた。
近所の妖怪好きのばあさんに教えられたわけだが、小学校に入るまでに、四十ばかり知っていた。従って、世界はこの世の外に、もう一つの世界、即ち不思議な世界があって、学校に入れば、そういう世界を教えてもらえると思っていた。
ところが、この世のことばかりでガッカリしたが、先生とか先輩に、お化けの話を質問したりすると「バカだ」と言われるので、世の中ってヘンだなアと思っていた。
水木しげるがそんなに好きなわけではなかったが、この話を読んで、とても愛おしくなってしまった。今後は水木先生と呼ばせていただくことにしようと思う。
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