読むだけですっきりわかる世界史(近代編)コロンブスから南北戦争まで (後藤武士/宝島社)
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ムカつく本である。この著者、なにかこの歴史シリーズがベストセラーになるほどバカ売れしたらしいのだが、そのせいか「調子に乗ってる感」が端々に出ていて、いちいちイラッとさせられる。
なかでも多いのが「どこかの国の政治家にも見習ってもらいたいものである」的な言い回し。ふつうに"日本"て言えばいいだろうに、嫌味っぽくていけすかない。
でもまあ読み始めたら読み通すのがわたくし流。ムカつきながらも読了。でも、あなたの本はもう買いません。ムカつくから。
以下、ムカつく箇所ではなく、ためになった箇所をご紹介。
景徳鎮はChinaの語源でもある。Keitoku「chin」だからね。もう一つ言うと、差別語とか蔑称と言われる支那。これもChinaをそのままローマ字読みしているだけのことで、悪い意味の言葉ではない。
昔は政治家は「井戸塀さん」なんて言われていたんだよね(世のため人のために私財を費やすから井戸と塀しか残らない)。
モンテーニュの回顧録でもあり懐古録でもある随筆集『随想録(エセー)』は近代の哲学者に多くの影響を与えた名著。随筆を表す「エッセイ」という言葉の語源もここにある。
ダ=ヴィンチというのはかっこいい響きだけど、実は「ヴィンチ村出身」という意味。そういうのって結構多い。あのドイツの高級自動車メーカー、BMWもバイエリッシュ=モトーレン=ヴェルケで、直訳すれば「バイエルンモーター製作所」だもんね。
サン=ピエトロ大聖堂改築の建築費を賄うために発行した贖宥状(しょくゆうじょう)。この言葉になじみがない人のために別の言い方も紹介しよう。免罪符、これならきっと多くの人が記憶している言葉だろう。昨今では免罪符を贖宥状と呼ぶのが一般的。
恐怖政治はフランス語では「テルール」、テロの語源でもある。
弱者とは必ずしも正義と同義ではない。弱者にとって、最も重要なのは目先の生活を少しでも楽にすることであって、広大で崇高な理念であるとは限らないのだ。
タイラーが大統領(在任1841〜1845)に昇格する。この頃からアメリカは、「明白な天命(マニフェスト=ディスティニー)」という極めて自分勝手な理論を唱える。アメリカによる西部の開拓は、神から与えられた使命なのだと。要は侵略の正当化に過ぎない。
以上。
この本で一番考えさせられたのは「弱者とは必ずしも正義と同義ではない」という一文。確かになあと思う。また、「明白な天命(マニフェスト=ディスティニー)」という、神からの使命なのだという正当化の論理。これはブッシュが911への報復攻撃に対して述べた「神のお告げを受けてアフガニスタンとイラクに侵攻した」のとまったく同じではないか。
人間の一生は究極のところ繰り返しであるのだから、その大きな流れ、つまり歴史は繰り返されるのは当然なのだが、しかし、愚かなことは繰り返すべきではない。学べ。人間に生まれたから人間になれるわけではないのだ。進歩しない人間は犬猫に同じだろう。
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