デザイン/アート留学のすすめ (松島 周平/ビー・エヌ・エヌ新社)

書籍デザイン/アート留学のすすめ(松島 周平/ビー・エヌ・エヌ新社)」の表紙画像

購入価格:293

評価:

この記事は約2分32秒で読めます

正直、読み通すのが非常にしんどいものがあった。内輪で盛り上がるバラエティのようなノリが随所にあり、あ、そう、と興ざめすること二度三度、四度五度。

また、著者が自分のことを「金原」と自分の名字を使うのも気持ちが悪く、なぜ編集者はそこを校正しなかったのか、あるいは仮にもプロの翻訳家である著者自身が、なにゆえ無駄なノイズを発生させる表現を選んだのか、理解に苦しむ。

じつはその本、当時、日本ユニ・エージェンシーにいた加島牧史(加島さんも加島くんも、なんとなく違和感があるので、とりあえず呼び捨て。向こうも「金原」と呼びかけてくるし)が、下訳をしないかともちかけてきたのだった。じつは彼のお父さんは著名な翻訳家で、その人の下訳を、という話だった。

英語と日本語の一人称はかなり違う。なんといっても英語の場合、一人称は「I」ひとつ。幼児でも若者でもおばあちゃんでもドラゴンでも異星人でも、みーんな「I」なのだ。これは考えようによれば、すごいことかもしれない。じゃあ日本語ではドラゴンや異星人のための特別な一人称があるのかといわれると、それはないが(たぶん)、とりあえず「ぼく、おれ、わたし、わたくし、あたし、あたい、自分、自ら、己れ、われ、わし、拙者、うぬ、朕……」数え上げればきりがない……ことはないだろうが、ずいぶんたくさんあるのは間違いない。そしてそれぞれが独自のニュアンスを持っている。

日本人でも本に興味のある人は少ないが、海外ではさらに少ない。本屋なんか一度もいかないまま墓に入る人はざらにいるのだ。新聞は読んだことがない、本も読んだことがないという人が驚くほど多い。それにくらべると、ほぼ毎日のように新聞をとっている日本人なんて(読むかどうかは別として)、世界でも珍獣に近いと思う。

最後のとこだけは、ハッとさせられた。正直、本なんか読まない人が大多数であることを忘れていた節がある。反省。

記事カテゴリー: art
     

ブログ一覧

  関連記事

色彩がわかれば絵画がわかる

色彩感覚がないので、意識して、計算して色を使わないとならないと思う私である。いま ...

ニューヨーク美術案内

いい本。というか、森村さんや会田さんなど、なぜだか現代の売れっ子は文章が達者であ ...

中・高校生のための現代美術入門

なんか、世間ではわかりやすいと評判のよいらしい本なのだが、どうして、そんなにいい ...

大人の教養としての アート入門

お手軽な本を読んでしまいすみません、という気持ち。

日本の現代アートをみる

そのまんまであるが、最近のおもしろい作家がわかる。というか、図版がメインで、テキ ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2025 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.