生活リズムの文化史 (加藤秀俊/講談社)
購入価格: 不明
評価:
この記事は約1分1秒で読めます
いかにも学者だなあという作者が、ぼやぼやととりとめもなく考えを綴ってみました、という感じのゆるい一冊。
どこか世間離れした――へえ、庶民はそんな感じで生きてるんだねえという距離感――ものごとへの眼差しが微笑ましい、というより、うらやましい。ぼくもそのようにぼんやり生きていきたい。
さて、断片的に内容紹介。
江戸時代の人々は寺の鐘の音で起きていた。おもしろいことに、記録によると、こうした江戸のお寺はその鐘によって起きる人々から目覚まし賃とでもいうべき料金を徴収していた。現在の金銭に換算すると一月に150円程度だった。
作者の、戦後間もない頃の通勤電車の回想。
電車は焼け残りのオンボロ車輛。運転本数も少なかったから、文字どおり車内はパンク寸前。ガラス窓が割れるなどというのはごく当たり前で、ときには人間の圧力でドアが外れたりしたこともあった。ガラス産業も壊滅状態にあったので、窓ガラスの入れ替えもできない。割れたあとはベニヤ板を打ち付け、おかげで車内は真っ暗。それに加えて、停電もしょっちゅう起きた。満員のうえに、電車が20分も30分も停止し続けていたのでな、もうどうにもならぬ。夏の暑い日には、失神する人なども現れた。
本のタイトルはあんまり関係なく、作者の気ままなエッセイとしてみれば、まあまあ読む価値はあるかもしれない。
- 前の記事
- 言霊 なぜ日本に本当の自由がないのか
- 次の記事
- 古事記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
ご支援のお願い
もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。
Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com
ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。
-
読書記録
2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。
関連記事
「キリスト教は初めて」という人のための本―ヨハネの福音書3章16節から
2018/03/31 book-review book, migrated-from-shintaku.co
この一年、キリスト教についてあれこれ学んできて、とりあえず一周して、一区切り付け ...
本人が知らないイギリス英語 (2) ~住宅事情から恋愛まで、イギリスの日常で使われるフレーズを豊富に収録!~
2020/04/29 book-review english, migrated-from-shintaku.co
1も読んだが役に立つ知識が満載。イギリス英語とアメリカ英語の表現の違いに多々触れ ...
すばやく引ける!じょうずに撮れる!デジカメ撮り方便利帳
2012/06/05 book-review migrated-from-shintaku.co
とりあえず、誤植多すぎ。商品として失格。校正したのは小学生ですか、というような。 ...
地下芸人
2020/12/01 book-review book, migrated-from-shintaku.co
なにはなくともネタバレ注意と書くべきなのだろうが、個人的には、ネタがバレても、な ...
わたしを離さないで
2013/08/24 book-review book, migrated-from-shintaku.co
随所に狂気を感じる。著者はパチンコ狂いで、それを研究と称して通いつめているように ...