日本国憲法・検証 資料と論点 第五巻 九条と安全保障 (古関彰一/小学館)

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憲法九条についての概要と、それについての自論くらいは持っておきたいと考える人には一読をおすすめする。ただし、疲れる内容ではある。

読んだからと言ってただちに「ぼくは、わたしはこう思う!」とはならないが、九条の是非を論じる足掛かりにはなるだろうと思う。

憲法九条の是非は終戦後、延々と議論されてきたが、現在もなおそのままである。

確かに九条こそは日本の憲法の一番の特長ではある。しかし、戦争放棄や戦力不保持をかかげている国は、実は少なくない。

ただ、日本の場合はその中でも際めて極端であるが、そのように明文化せざるを得なかった事情もある。

本文より引用

(終戦時の幣原(しではら)首相は)「新憲法を書き上げる際にいわゆる『戦争放棄』条項を含め、その条項では同時に日本は軍事機構は一切もたないことをきめたい、と提案した。そうすれば、旧軍部がいつの日かふたたび権力を握るような手段を未然に打消すことになり、また日本にふたたび戦争を起こす志は絶対にないことを世界に納得させるという二重の目的が達せられる」

引用終わり。

よく、現憲法はアメリカに押し付けられたものだと言われているが、諸説あるようで、日米の合作というのが本当のところではないかと、この本には書かれている。

憲法は建前に過ぎず、実際には自衛隊という軍隊を持っているのだから空文化しているとも言われる。それでも日本が特殊であることは事実だと思う。

本文より引用

若者が兵役義務をまったく考えずに青春時代を送ることができる国はそうざらにはない。兵役をいまだに賞賛する人もいるが、それが究極的には「人を殺す」訓練であることだけは間違いない。

引用終わり。

実際のところ、九条が建前だろうが机上の空論だろうが、それで現在のありがたい平和が維持されているのだとしたら、とにかくは無心に拝んでおきたいとは思う。がしかし、さらに深いところまで突き詰めると、九条以前に、平和が突き崩されるのは時間の問題だったり、なんとかかんとか、するのかもしれない。

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