現代美術コテンパン (トム・ウルフ (著), 高島 平吾 (翻訳)/晶文社)

書籍現代美術コテンパン(トム・ウルフ (著), 高島 平吾 (翻訳)/晶文社)」の表紙画像

購入価格:597

評価:

この記事は約1分19秒で読めます

ギャンブルをやる人はどうも程度が低い人と断じられてしまう昨今であるが、敬愛するドストエフスキーなどは、賭けには魂の震えがあって云々などという立派なんだかよくわからないことを言っている。まあ、本書を読むと、賭けというものが人間の在り方そのものと親和性があるのかもしれない、くらいは思う。

あきらめることは、がんらい「明カラメル」ことだそうだ。真理を明らかにすること――それがことばの本来の意味である。

「賭博」というものは、「偶然ノ輸贏二関シ財物ヲ以テ博戯又ハ賭事ヲ為」すということになる。「輸贏(ゆえい)」とは、「負けと勝ち。勝ち負け」(『学研・国語大辞典』)だそうだ。つまり、偶然の勝負に財物を賭けるのが賭博である。

フランスの哲学者パスカルの『パンセ』の中の一節に、神の存在に関わる一節。

「神は存在するかしない存在しないか」を言明しよう。だが、われわれはどちらの側へ傾くであろうか? 理性はその場合、何ごとをも決定することができない。そこには、われわれを隔てる無限の混沌がある。この無限の距離果てるところで、一つの賭がおこなわれる。表が出るか裏が出るかなどのだ。君はどちらに賭けるか?

パスカルの計算は簡単だ。神が存在する方にかけて、そして当たれば、われわれが得ることのできる幸福は無限に大きい。一方、それで賭けが外れても、失うものはほんのわずかだ。反対に、神は存在しないに賭けて、それが当たっても、得られるものはごくわずか。それならば、神が存在するに賭けるのが当然であろう。

私はれっきとしてカトリックのクリスチャンであるのだが、このくだりは非常に考えさせられるものがある。

記事カテゴリー: art

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

現代美術コレクター

初めは眠かったが、後半から急に良書。「巨大な貸画廊、それが国立新美術館である」と ...

デュシャンは語る

今でこそ華の都のような扱いのニューヨークも、かつては信じられない悲惨な場所だった ...

「なぜ?」から始める現代アート

著者は有名なキュレーターです。はい。金沢21世紀美術館の展示が話題になったりした ...

現代美術の流れ―1945年以後の美術運動

ホームレスに関しては一家言も二家言もある。なんと言っても私は、ロサンゼルスのホー ...

わかりたいあなたのための現代美術・入門

なかなかよかった。 読んで損はない本です。 「オールオーバーな絵画が画面から消そ ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.