南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史 (高月 靖/バジリコ)

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正直、もっと歴史的な経緯や逸話が知りたかったのだが、そのようなものは全体の3分の1程度で、あとはオリエント工業に代表される、現代のラブドールの成り立ちや、そのユーザーのコメントに多くが割かれている。

もともとダッチワイフの開発は、戦地における娼婦の代わり(性病予防の観点)に軍事目的で開発されたり、南極越冬にあたっての性欲処理など、実際的な目的のために作られたという。

それはそうかもしれないが、しかし、なぜ手淫ではいけないのかが、どうもよくわからない。そのようなシビアな状況であればこそ、便所で用を足すのと同様、ササッと右手で済ませればよいではないか。

思うに、開発目的なんてものは大義名分で、実は現代同様、単なる趣味愛好でしかなかったというのが本当のところではないだろうか。

南極でのセックス処理問題。歴史上の極地探検記には精神に異常を来す人物がよく登場し、性的欲求不満との関連が示唆されていたからだ。実は明治時代の日本にも、この問題に直面した人物がいる。白瀬矗がその人。白瀬は1912年に日本人で初めて南極探検に挑み、極点には遠く及ばなかったが氷上に日章旗を立てて帰国した人物だ。「旧日本軍が開発した『疑似女体』」で挙げた『帝国陸軍 戦場の衣食住』によると、白瀬はセックス処理のために何か道具を持参したわけではなかった。代わりにマスターベーション以外の方法として、ペンギンを使って獣姦を行ったという。

セックスに何らかの制約を受ける障害者へのケアは、福祉の観点からも無視できない問題。そうした人にとってダッチワイフ、ラブドールが救いとなる例は少なくないそうだ。そのためオリエント工業が現在も10%の障害者割引を行っているのは、業界でよく知られた話。

ブルセラ店の草分け、アド新宿の方のコメント。客商売としてのスタンスは確かにその通りで素晴らしいのだが、しかし、何かひっかかるものを感じるのは私だけだろうか。

客商売としてただ普通のことをやっているだけ。これがもし高級ブランド店だったとしてもやることは同じです。ブランド品でも古いパンツでも、お客様はお客様でしょう? 古いパンツだからって買いにくるお客様を変態扱いしてバカにしていたら、誰も来なくなるのはあたり前ですよ。普通にちゃんと接客して、要望を聞いてそれに応える。さっき言ったブルマの材質やゴムの形みたいなことも、ブランド品のバッグの留め金がどうのという話と同じ。細かいリクエストにまできちんと対応できないと、リピーターはついてきてくれないですよね

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